深夜0時に帰れない



身長体格 = にはならないとネット記事を読んで安心していた所があった、目の前で視界に入ったそれは
"馬"
と例えたら正解なのか、いやいっその事これはもう暴力なのではないかと頭の中で思った

「やめとくか」

「やめない!」

「そんなにビビってちゃ出来ねぇよ」

「違うビビってない初めて見たから」

「初めてなら尚更だ」

目の前に座る伽羅の言葉に智花は身振り手振りで大丈夫だと言い続けるもそんなはずも無いと言いたげな顔をしていた、だがしかしここまで来るのに随分時間もかかった故に智花は諦めたくなかった

「別にセックスがなくてもお前のことはしっかり好きだから」

まるでそれは拒絶するように脱いでいたシャツを羽織らされてしまえば智花は余計に子供のようにシャツを放り投げて伽羅の胸を押した、力の弱い彼女じゃビクとも動くことはなく黙ってその腕から彼女の顔に視線を移した

「私が全部伽羅さんに貰って欲しいの恋も、処女も、愛も全部…だからそんな事言わないで受け止めてよ」

「はぁ…俺は本気でお前を大切にしてぇんだよ、でもそこまで言うなら覚悟出来てるだろうな」

ようやく待ち望んでいた行為に唾を飲んだ、本当にここに来るまで長い時間だったと思いながら智花は先程までの出来事を思い出す

-

「帰りたくない」

「…じゃあどうしてぇんだ」

デート終わりいつも通り連泊してるホテルに送ろうとする伽羅さんに智花は言った、今迄彼から誘われたこともそういった通りに行ったこともなかったがそろそろ子供でもなくなった今智花も好奇心があった、ふと指さした方向を見て察した伽羅が溜息をこぼして

「別に今じゃなくていいだろ」

智花に伝えたが、何時だって彼はそう流そうとした、行為が嫌いなのか興味が無いのか理由は理解していなかったが乗って貰えたことはない、だがしかしもう半年も付き合ってるのだからそろそろ次のステップに向かってもいいのではないかと思えた

「今じゃなきゃヤダ、伽羅さんが欲しいの」

「覚悟あるんだよな」

「ある、もう子供じゃない」

「…分かったよ」

大きな手を引かれてホテル街を歩き適当な所に入れば人はおらずパネルが光っていた「どこがいい」「わからない」短い会話をしたあと黙って伽羅が禁煙室と書いていた602の部屋を押せば小さなフロント口から部屋鍵が出てくる「宿泊で」と低い声に「畏まりました」と返事が返ってきて手を引かれてエレベーターに乗った

「智花我慢しないからな」

「…うん」

エレベーター内で抑え込まれてそう呟かれればあぁこの人も待っていてくれたのかと思えて心地よかった
部屋の鍵を開けて奥に入り風呂の用意をテキパキとするあたり来慣れてるんだろうと予想が安易に予想でき少しの悔しさを感じた、荷物を適当にソファーにおいて、メニューを見つつ待っていれば風呂の用意ができたから言ってこいと言われる

「一緒に入らないの?」

「風呂でやりてぇならいいぞ」

「1人ではいる」

「肩まで浸かれよ」

「うん」

洗面台の前で服を脱ぎ捨ててお風呂に入る、薔薇の匂いの入浴剤と共に花弁が可愛らしくお湯の上に浮いていて少し可愛らしくて緊張した気分がほぐれた、髪の毛や体はしっかり洗えばいいのかどうなのか分からずこんな細かいところはネット記事等にはなかったなと思いリアリティを感じる
長風呂するのも悪く重い体だけを軽く洗い出てみれば服は綺麗に畳まれて持っていかれたのかバスタオルだけが残されていた

「上がりました…って伽羅さんなんで脱いでるの」

「上だけでも脱いでた方が態々こっち迄置きに戻らなくて良いだろうが、風呂入ってくる注文しておいてやったから食べて待ってろ」

「…私子供じゃないし」

「そうやって言う奴は大抵ガキだ」

優しくいつも通り頭を撫でられ風呂場に行ってしまえばベッドの上の方のティッシュやゴムやスイッチのある場所にはカルピスとケーキが置かれていた、仕方なくそれを食べながら自分の体を見てはそんなにお腹出てないかな?胸小さいかな?とつまらない事に悩みつつテレビをつければAVが流れて慌ててチャンネルを変えても同様なので静かに消した
食べ終えてしばらくすれば出てきた伽羅の髪が少し濡れており、そこまで洗うなら自分もしたら良かったと小さく後悔をしていれば智花の隣に腰かけて大きな手が頬を触れて顔を見せられる
痛そうな目の傷を思いつつも触れた唇の感触を味わって、自然といつも通りに絡ませた舌は歯磨き粉のミントの味がした

「甘ったるい味だな」

「歯磨き粉の味した」

「磨いてきたからな」

「私も歯磨きしたい」

「終わったらでいいだろ」

そう言いながら冒頭のように彼のタオル越しのソコをみて驚いていたのだった

-

話は戻り智花の頭は素数を数えるようにしていた2.3.5.7.11.12.17と数えていれば伽羅の太い指が智花の体を隠していたバスタオルを床に落として抱き上げる

「電気消さないの」

「消した方がいいのか」

「できたら」

「わかった」

明るかった部屋が間接照明だけになり一気に暗くなる、抱き上げた後に布団の中に入れられて伽羅も自身の腰に巻いていたタオルを外に放り投げたことが見てわかる、腰に当たった小さな熱と自身の高なった心臓の音に今からようやくなのかと思った

「私初めてだから上手くないと思うしガッカリされたくないけどあの」

「お前みてぇなガキに期待してねぇからあんまりペラペラ話すな」

それもそうかとは思いつつも少し言い方に刺があるとガッカリしつつ、近付いた顔にまた自然とキスを受け入れる彼に伝えていないことがあるこの行為が初めてだがキスをしたのも貴方が初めてだと言うことを、この恋という気持ちも愛するという気持ちも全て伽羅が初めてであるがそんな事は伝えずともきっと理解されている
智花は何も言わなくても理解してくれる彼が心地よかった、ぶっきらぼうで不器用ながらも大切にしてくれる彼の大きな手にいつだって愛されたいと願っていた、伽羅の大きな手がふと胸に触れられれば鼓動が聞こえないかと恐れてしまう

「んっ、くすぐったい」

「正常な感覚だ我慢しろ」

普段口調の荒い周りから恐れられるはずのその男が自分の胸に顔を埋めて舌先で愛部しているのかと思えば少しだけ胸がときめいた、手持ち無沙汰でくすぐったい感覚を味わいつつ伽羅の髪を撫でれば冷たい髪が手のひらに広がる
ふと指先が胸の先端を優しく触れればゾワゾワと背中の毛が栗立ち「ひゃっ」と間抜けな声が出る

「痛くねぇか」

「うん、でもなんかさっきと変な感じムズムズする」

「1人で抜かねぇのか」

「一人で?ってするわけないじゃん」

「しねぇのなら尚更丁寧にしねぇと裂けるな」

考え込んでそう言った伽羅にもしかしてこの人も1人でする時があるのだろうかと変な考えをしてドキドキしてしまう、胸に触れていた唇が胸の中央や臍にキスを落としていく、羞恥心に駆られて体をくねらせても彼には抵抗など聞かず優しく足を開かれる

「あんまみないでよ」

「暗くて見えねぇよ」

「…舐めるの?」

「いきなり指入れて痛くて泣かれたくねぇしな、大丈夫だから俺に任せとけ」

そっと片手を繋がれて指を絡められる、滅多にされることの無い優しさを感じながら意を決していれば太ももを膝をキスされていく、いつ来るのか分からないと思っていれば太い指が表面をなぞったクチュと小さな音がして濡れてるのが恥ずかしいと思いつつも少しは自分も素直に興奮できていたことに安堵もした

「アッ、伽羅さ」

「ん?きついなら足首に回していいぞ」

ペロリと熱い舌が秘部に触れれば今迄に与えられたことの無い感覚に目を見開く暗いといえど匂い熱触感は感じられるものだろうと思えば素直に感じる以前の問題で太ももにあたる髪の毛の触感さえも興奮材料の1種になった
そんな智花の考えも知らずに伽羅は丁寧にそこを舐める、形なぞるように痛みを与えないように苦しませないように傷を舐める獣のように優しく彼の太い舌が舐める、塩っぽい甘い蜜の味を求めて久方ぶりに味わう女に匂いに少し酔いながら

「あん、ひぅ…変なの」

「キモチイイんだろ、声出して気持ちいいなら素直にいえ」

「うっん、きもちいいよ」

「いい子だな」

何度も手を絡めて力を入れ合う、優しくまるで手だけでセックスをしてるような感覚だった
だがしかしその手も離されて伽羅が起き上がり智花に左腕で腕枕してやり額にキスを落とす

「もう解れたから指入れるぞ痛いなら言えよ」

「う、うん」

「力抜かなきゃ痛いからな」

丁寧に説明されたとしても智花の頭の中には入ってこずに右から左に消えていくばかりだった、まるで病院で注射を受けるような緊張感があった伽羅の手が陰毛に触れて優しく濡れそぼったそこに触れる表面を滑るように撫でられれば頭の先に小さな電流が流れたような感覚に足を閉じてしまうもそんなことを許されることがなく、簡単に片足でそう出来ないように封じられてしまう
ぎゅっと抱きしめられてその愛撫を受ければ「1本だけ入れるからきついなら言えよ」とぼそりと言われる頷けば下腹部に大きな圧迫感がやってくる

「痛くねぇか」

「うん、なんか入ってるなぁ…て」

「じゃあこれで鳴らして3本くらい入れれたら大丈夫だろうから我慢しろ」

「伽羅さんあの」\

「んだよ、辞めるのか」

「辞めないけど、我慢出来る?」

もう何十分こうして前戯しているのか分からないが男性とて快感を得たいはずだと智花は思った、呆れたように笑って伽羅が腕枕している左手で頭を撫でる

「お前が感じてるだけで気持ちいいから良いんだよ気にするな」

こういうことを言う彼が何よりも好きだと思えた、荒い口調でいつも人を寄せつけないが誰よりも心を開けば愛してくれる彼が暖かい日差しのようだ、続きをするぞと言われてキスを求めれば彼の唇は少し塩っぱくこれがセックスのキスなのかな?と子供みたいに思った

「ふぅんっぁ、く」

「きつくねぇか」

「うっ、なれてきた…かも」

膣内で動く1本の指に与えられる感覚に智花は頭がぼうっとしてしまう痛みを感じることは無いがなんとも言えない感覚で進んでいく、圧迫感がさらに増えたことにより本数が増えたのかと智花は思い快感から逃げるように伽羅の胸元に顔を寄せたほんのりとシャンプーの匂いと汗の匂いが混じりそれがフェロモンのように感じてしまう

「ソ、コきもちぃ、ぁはっんッはぁ」

「ココか分かった」

「ッッや、伽羅さんだぁっめキちゃう、そっやめ」

「1回イッとけ」

「んっっ、ぁきちゃッんんっー」

空いていた手でシーツを握ってやってきた大きな波を受け止める、どっと身体にやってきた疲労感にぐったりと力なく伽羅の腕の中で息をする

「もう3本くらい入りそうだな」

「はいるかな」

「痛いだろうが大丈夫だろ」

優しく枕に頭を置かれて準備のできた伽羅が枕元の避妊具の袋をゴミ箱に投げ捨てた、彼の下半身のソレは大きく色黒く熱が伝わりゴムを被せられるところをじっと見れば恥ずかしそうに見るなと顔を覆われた後直ぐに顔が見えたオレンジの間接照明をバックに見えた伽羅は普段とは違う雄としての表情だった

「本気でいいのか」

「うん、伽羅さんがいい」

足を開かれる彼の身体が入るように足を開くために少しだけ関節が痛いと感じつつもこれもまた愛の為の痛みなのだろうと綺麗事を思った

「痛かったら言えよ」

何度も心配したように言う彼に頷けば頭をゆっくり撫でられ身体が埋められる、まるで針を通されたような痛みが下半身にやってきて上手く息が出来ずに「いっっ」と大きく声が出た
少し入ったのか圧迫感が指の時よりも感じられ智花は涙を数滴こぼした、動くことなく伽羅は智花をみつめる

「どうするまだ先だけだぞ」

「うっ、嘘だ」

「ホントだよ見るか?」

「見ないけど続ける」

「…智花こっち向け、そうだ深呼吸して…でもって俺だけを見て考えるな」

彼の顔を見つめて瞳に溶けそうだと思えば痛みが和らぐが奥に入れられればブチっと小さく音が聞こえた気がした、痛みと苦しさにこの行為をする理由など忘れそうになっていたが伽羅の手が智花に絡めつけられ唇を重ねられる、今まで以上に長く優しく唇を重ねて舌が歯列をなぞり形を確かめるように奥まで全て見ていくのだ
その感覚に全てを奪われれば身体の動きが止まり、唇がようやく離れた時には互いの口周りは唾液でべとべとに汚れていた

「奥まで入ったぞ」

「へへ、痛いけど気持ちいい」

「まだ動いてもねぇだろうが」

「違うの心が…いっぱいで」

「泣くな、悲しみ以外の涙はどうして慰めたらいいのかわからねぇよ」

「うん…抱きしめて好きって言って」

「好きだ智花、俺を受け止めてくれてありがとう」

「私も伽羅さんが好きだよ、繋がってくれてありがとう」

痛みではない幸福の涙がポロポロとこぼれれば伽羅は優しく微笑んで智花を抱きしめる、何度も柔らかい髪の毛を撫でて涙を指先で拭ってやる「そろそろいいか?」と小さくいえば頷く智花に伽羅自身は我慢をした欲をようやく直接与える、優しく腰を打ち付けて膣内を確かめて吐息と汗が一体化しそうになる

「きゃ、らさッッあ、はぁっん、ぁか」

「智花ッ好きだ」

「わた、しもっ、はぁっん」

「ハァ…ぁっく」

互いの声が、息が、熱が混ざってこのまま死んでしまいそうだと智花は思った、セックスをすると人のIQが下がると言うが下がったとしてもそれが愛を囁くのならば心地がいいと感じた
滅多に好きと愛してると伝えない伽羅から言われる言葉が心地よく目を細めて痛みと快感の混ぜられた幸福を受ける
5分か10分かそれ以上か互いが身体を揺らして求め合ってホテルのベッドがギシギシと動く音も響く

「きもちぃっあ、はぁ」

「俺もだっくぅいっていいか?」

「う、ん欲しい伽羅さんのぁ、全部がほしい」

「俺もお前が欲しい」

強く優しく太い腕に抱き締められて「好きだ」と耳元で小さく囁かれて膣内にある伽羅のモノがビクビクと痙攣した感覚を感じる、肩口で静かに獣のように息をする伽羅を疲れきった体でみた智花は手を伸ばして彼の癖毛を優しく撫でて呟いた

「大好き」

その言葉の返事のように伽羅は智花を抱きしめる力を強めた
ティッシュと共に捨てられたゴムに虚しさを感じつつ疲労感の残る身体でベッドに寝転がれば抱き上げられて風呂場に連れていかれる

「風呂入って寝るぞ」

「…最初からお風呂一緒に入りたかった?」

ふと智花は伽羅の足の間で背中を見せて湯船に浸かりながらそう言えば顔に水鉄砲を食らった

「あぁそうだよ」

後ろを振り返ればそう呟いた伽羅の顔は少し赤くなっておりお風呂のせいではないと智花は分かって思わず嬉しくなり頬が緩み頬にキスをした

「またエッチしようね」

と初めの経験なんてもう過去の事で忘れたように言ったが、彼女の下腹部には熱と圧迫感と痛みと大きな幸せを残していた。

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