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 珍しく真面目に働いているロッカーな真選組の隊士達が街中を駆け回る。
 姫様の捜索に一足先に戻った山崎の後ろ姿を見送って橘香と近藤は調査状況を知る為、土方の所へと向かった。
「うおおおおおお!!」と街中で一際デカイ切羽詰まった声とドゴォォという破壊音のする方を橘香が見ると、遠目に探していた土方とその土方の腕を切り落とす勢いで刀を振り下ろした沖田がいた。
 殺伐とじゃれ合ういつもの光景だ。
 慣れきってしまっている近藤は気にすることなく近づき、二人に話しかけた。

「おーう。どーだ、調査の方は?」

「…………」

 ロッカーな近藤を見て黙る土方。
 その物言いたげな視線に近藤が気づく様子はない。

「潜伏したテロリスト捜すならお手のモンだが捜し人がアレじゃあ、勝手がわからん」

 隊服のことは全力でスルーして、調査報告を始める土方の手元にあるのはそよ姫様の写真。
 それを覗き見ながら橘香はこんな子供が抜け出せるなんて城の警備って以外と杜撰ずさんだなと思った。

「お姫さんが何を思って家出なんざしたんだか…。人間立場が変わりゃ悩みも変わるってもんだ。俺にゃ姫さんの悩みなんて想像もつかんよ」

「立場が変わったって年頃の娘に変わりはない。最近お父さんの視線がいやらしいとか、お父さんが臭いとか色々あるのさ」

「お父さんばっかじゃねーか」

「外で遊びたいってだけなんじゃないですか?」

「お姫さんがそんな庶民的なワケねーだろ。田舎娘お前と一緒にすんな」

 橘香は意見を無下にされ、ちょっと傷ついた。

「江戸の街全てを正攻法で捜すなんざ無理があるぜィ。ここは一つパーティでもひらいて姫さんをおびき出しましょう!」

「そんな日本昔話みてーな罠にひっかかるのはお前だけだ」

「大丈夫でさァ、土方さん。パーティはパーティでもバーベキューパーティです」

「何が大丈夫なんだ?お前が大丈夫か?」

「それならティーパーティの方がずっとお洒落しゃれで可愛くないですか?」

「パーティから離れろ!つーか、何でお前ここに居んの!?」

「コスプレ込みで局長命令です!」

「特別報酬ください!!」と敬礼しながら橘香が言えば、土方は即座に「却下」と切り捨てた。
 色々、不服な橘香が口を尖らせていると「局長ォォ!!」とロッカーな山崎が駆け寄って来た。

「!!どーした山崎!?」

「目撃情報が。どうやら姫様はかぶき町に向かったようです」

「かぶき町!?」

「よりによってタチの悪い……」

 またもや隊服のことはスルーして、土方は隊士達にかぶき町へ向かうように指示を出し始めた。

「かぶき町も広いからなァ。一体、どこに居られるか」

「さぁ?かどわかされてなければいいですけどね」

「ちょっとォ!!不吉なこと言わんでくれよ、碓井さ…くん!!」

「だから、そうなる前にしっかり見つけてあげましょうよ。お巡りさん」

 焦る近藤に橘香はそう言った。





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