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「凄いですね。年頃の女の子達がかぶき町を見事に遊び倒してる」
「感心してる暇があるなら捜せ。まだこの辺りにいるはずだ」
最後の目撃情報があったゲームセンターの周辺を真選組総出で捜して行く。
橘香は一番情報の集まる土方の後ろに着いていながらも若干、飽きて小さく欠伸を噛み殺した。
ふと、目に入った団子屋の幟。
その下の緋毛氈の敷かれた長腰掛に座って楽しそうに団子を食べながらお喋りするそよ姫と神楽がいた。
思わず二度見した橘香は別の方向を見ていた土方の服を鷲掴んで引っ張った。
「土方さん!アレ、姫様じゃないですか!?」
「ぐっ、 首が、絞まって……」
「あっ、スミマセン」と言って橘香がパッと手を離すと咳き込んだ土方は首を擦りながら橘香が指差した団子屋を見た。
そのまま「ハァ」と短く安堵したような疲れたようなため息を吐くとその団子屋へ足を向けた。
橘香もまた、その後ろを着いて行く。
「私、城からほとんど出たことがないから友達もいないし、外のことも何にもわからない。私にできることは遠くの街を眺めて思いを馳せることだけ…。あの街角の娘のように自由にはね回りたい。自由に遊びたい。自由に生きたい」
聞こえてきたのはそよ姫が抱えた小さな悩み。
やっぱり年頃の女の子達と何ら変わらない悩みは、その立場故に許されず、ずっと抱え続けてきた物なのだろう。
それを問答無用で連れ戻さなければならないことに橘香は罪悪感を覚えた。
「そんなこと思ってたらいつの間にか城から逃げ出していました。でも、最初から一日だけって決めていた。私がいなくなったら色んな人に迷惑がかかるもの…」う
「その通りですよ。さァ、帰りましょう」
何の躊躇いもなくそよ姫の前に立ち、声をかける土方を橘香は鬼だと思った。
あ、そうだ。この人『鬼の副長』だった。
橘香が脳内で一人ツッコんでいるとそよ姫は寂しそうな顔でスッと立ち上がった。
しかし、その手は同じ小さな手に掴まれた。
「何してんだ、テメー」
そよ姫の手を掴む神楽を土方が威圧的に咎めれば、神楽はニタと笑って咥えていた団子のくしを土方目掛けてフッと吹き飛ばす。
腕で払い落とす土方の隙をついて神楽はそよ姫の手を引いて駆け出した。
「オイッ、待てっ!!」
土方の制止の声を振り切り、走って行く二人。
鋭く「確保!!」と土方が声を上げれば、真選組の隊士達が二人の退路を塞ぐ。
しかし、そんなことでは止められない。
「ぬァアアア!!どくアルぅぅ!!」
神楽は日除けの傘を振り回して隊士達を凪ぎ払うとそよ姫を抱え、パトカーのボンネットを踏み台にして高く高く跳躍した。
「おぉ、飛んだァ」
面白い物を見たと橘香は目の上に手を翳して、楽しげに二人を見送った。
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