ー指切りげんまん 02ー
「嗚呼、ずるいわ。本当にずるいひと。」
トムが答えを出して誓いを立て、ティナがそれを受け入れて。そんな小さな事実はティナの心境を変えるには十分なのだ。その誓いだけでティナは待ち続けることができるだろう。
だからこそトムはずるい。きっとそう言われればティナが拒めないと知っていてわかっていて誓いを立てているのだ。
それはもちろんティナのためであり、二人のための物だけれど、その誓いは学校に在学する7年間のティナの孤独を意味している。
トムはティナに対してとてもやさしい。そして、残酷だ。けれどもティナはそれでいいと思った。それが私が心底愛しいと思う人なのとだと。
「ずるいひと。でも、大好きよトム。」
「知ってる、ごめんね愛しているよティナ。」
そうやってトムは開き直ったように晴れ晴れと笑った。新しい二人の形はきっと未来を輝かしく照らすものだという確信がトムにはあったからだ。それにつられてティナも笑う。
「幸せね、トム」
「幸せだね、ティナ」
「手紙、かいてよ?」
「絶対、毎日書くよ。」
「休暇にはいちばんにかえってきてね?」
「誰よりもはやく帰ってくる」
「お土産は魔法のお菓子がいいわ。」
「もちろんだ抱えきれないくらい買ってくるよ。」
一人でも立てるほど強くなろう。そうティナは思った。トムを隣で支えれるほど強くなろう。
トムが自分にしてくれたことを返せるように。
トムが帰ってくるその時まで、迎えに来てくれるその時まで、自分の足で、力強く待っていよう。トムの違いに対してティナは一人、そう心に誓う。
「トム、絶対に迎えに来てよ?」
「もちろんだ、ティナ僕は君を迎えに来る。」
「いってらっしゃい。」
寂しさを心の奥にしまい込んでティナは精一杯の笑顔で伝えた。
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