ー薬指に口づけを 02ー




「ただいまティナ。
君を迎えに来たよ。」

トムはまた溢れんばかりのお菓子を買って帰ってきてくれた。小さい頃の小さな約束も守られる日はこれで最後だろう。

「おかえりなさいトム、卒業おめでとう」

頬に触れるだけのキスをしてトムを家に招き入れた。










「さっきも言ったけど君を迎えに来たんだ、一緒に暮らそう。
僕は大人になった、だから君を迎えに来た」


そっと差し出された箱にティナは胸が高鳴った。
その意味がわからない子供はもう居ない。嬉しさで涙が溢れる。その箱はまるで宝石を入れる時の箱で、入っているものなんて1つしかない。
そっと箱を開けば赤いルビーの指輪が入っていた。


「あぁ、トム!うれしいわ!
嬉しくてどう言ったらいいのかわからないの!」


ティナは嬉しさに舞い踊った、ふわふわとしたその感覚は心地よくて飛びつくようにトムに抱きつく。それを優しく受け止めたトムは優しく優しく抱きしめてくれる。

「僕は君には絶対嘘はつかない、約束しただろう?」

そう言ってトムは膝をついた、まるで姫に迫る騎士のようだった。トムの瞳は燃え上がるような愛情の色をしていてティナは静かに言葉を待つ。


「僕はとても危険なことをしようとしてる。
僕はとても残虐なことをしている。
でもそれは必要なことだ、腐り切った魔法世界を僕が変える。

僕とともにいれば君は危険に晒されるかもしれない、でも僕は君を命をかけて守ると誓うよ。

僕と共に来てくれ。」


そして私は答えるよりも先に指輪をはめた。



昔、シロツメクサの指輪をつけたその位置に。
必ず迎えに来ると約束したあの時のように。
そんな彼にかける言葉なんて1つしかティナは思いつかなかった。

「トム、私と一緒に生きてください」

私も誓うわトム、貴方がどこまで闇に堕ちても私は共について行くって。例え地獄に落ちることになっても貴方と共に在るなら幸せよ。



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