ー絡めた指が愛になる 01ー


あれからトムとティナはいろいろなところを転々とした。
トムは由緒正しい魔法道具を探していると言っていたけれど一体何に使うのかをティナに教えることはなかった。
それでもティナは彼の横にいることを止めるなんてことは無いし、トムもそれを分かっていた。

トムは名前を捨ててヴォルデモートと名乗るようになり、彼の部下は我が君と崇め奉った。

そして、このアルバニアに落ち着いてからはティナも部下、(トムは死喰い人だと言っていた)の前に顔を出すようになっていた。

「奥様、ここは冷えます部屋にどうぞお戻りください」
「えぇ、分かっているわ」

彼らは私を奥様と呼ぶ。
トム、いやヴォルデモート卿の奥様として私を扱う。私にとっての彼は孤児院の時から変わることなんてないヒーローだけれど、どうしても周りの目は変わって行く。
人を集め、まとめるカリスマ。
そしてその凄さはきっとあの残酷さが生み出しているんじゃないかとティナは考えるようになった。

トムは残虐だ。
酷いことを他人にいっぱいする。

でも、嫌いにはなれないしなるつもりもない。

あの優しい赤い瞳はまだ彼の中で生き続けて、そして私にその優しさを見せてくれるから。
例えそれが消える日が来たとしてもティナはトムから離れることはないだろう。

大好きよトム、愛おしい人。
どうか私の前から消えてなくならないで、

そしたら私はきっと生きていけない。



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