ー絡めた指が愛になる 02ー
トム・リドルはヴォルデモート卿になった。
名を捨て、心を捨て、冷徹な、同胞を従え導く闇の帝王に。
そして、隣にはティナがいて変わらず闇の帝王に微笑みかけている。彼女は変わって行くトム何も言わず、ただ隣をついて来る。
自分が間違えたことをしているなんて思うことは無い。自分達が間違った魔法界を元通りに正しているのだ。
下等且つ低俗なマグルどもに隠れて過ごさなければいけない世界はおかしい。魔法族がどうして彼らから隠れる必要があるのか。
ヴォルデモートとして自分が世界を正し頂点に立つ。それが唯一の望みであり、虐げられる側からの脱却の第一歩だと信じていた。
「トム、またむつかしい顔しているわ。
少し休んだらどう?」
優しい声が頭に降り注ぐ。それだけで、トムの心は安らいだ。自然と眉間に入っていた力が抜けて行くのがわかる。
「いや、まだいいティナもう寝なよ」
日は完全に落ち今は真夜中。
時々屋敷の外の森からホーホーとフクロウの声が聞こえてきて、穏やかな月明かりが窓から部屋を照らしている。
「私もまだやりたいことがあるのよ、はい紅茶」
「ありがとう」
ティナの紅茶はとても美味しい、紅茶だけはティナの物しか飲みたくないと思うほどに。
トムの数少ない好きの1つだ。
「トム、時々貴方が消えてなくなってしまうような気がするの。
私は、それがとてもこわいわ」
危ないことはしないでと懇願するティナはホグワーツに行くというトムに縋り付いた時のようでまるで子供の頃に戻ってきたようだった。
「大丈夫安心して、僕は君に嘘をつかない。
ずっとずっとこの先も君の隣にいるよ」
どんなことをしてでもだ。
君を悲しませたりしない、約束する。
だから、安心してと囁けば不安ながらも頷くティナ。
大丈夫、僕は君に嘘はつかない。
どんなことをしてでも君を守るし、どんなことをしてでも君とともにいる。
愛しているよティナ、愛おしい君。
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