140字SSまとめA

このページのお話は全て『診断メーカー 140字でかくお題ったー140文字SSのお題』(同作者様)からお借りしています。
※タイトルクリックで文章展開します。

貴方の心臓が欲しい(Sebastian)

「嫌なら断ってくれ」
その言葉は全くの嘘ではなかったが、随分と優等生ぶった言葉だと鼻で笑ってやりたくなる自分もいる。
 僕だけを映して揺れる蜂蜜色の瞳が、緩くカーブを描く睫毛に隠れた。下顎をなぞると、あ、と漏れ出た彼女の吐息を奪うようにその唇へ触れる。このまま、君の心臓が丸ごと欲しい。


逃がしはしない(Ominis)

「オミニスってさ、優しいね」
 本来なら褒め言葉である筈の彼女の言葉は何故だか少し歯切れが悪かった。「そうか」「うん」俺の相槌に続く返事にも元気がない。
「君にそう思われるのは嫌じゃないが」
 誰にでも優しい男だと思われては心外だ、という意味を込めている事に、果たして君は気付くかどうか。


どこにもいかないで(Sebastian×転)
本編エンド後ネタバレ

先生は恩師と呼べる存在だったのだろう。いつも莞爾かんじたる表情で話してくれていたから分かる。
 今はそこに憂いの表情を浮かべ、彼の名が刻まれた石を静かに見下ろしている。
「一緒に来てくれてありがとう」
 僕はただ彼女の存在を確かめるように、その小さな背中にそっと手を添えて並び立った。


恋人だった(Sebastian)

すん、と鼻を鳴らすと果物の様な新鮮さを感じさせる茶葉の香り。彼女お気に入りの銘柄だ。
『セバスチャンって苦手な事ある?凄く美味しい』
『さあ?お褒めに預かり光栄だね』
 大袈裟だと揶揄いもしたが、きょとんと瞳を丸くさせ僕を見る彼女は何度思い出しても愛しかった。
「・・・ああ、入れすぎたな」


本当、だったり。(Sebastian)

彼女が僕に片想いしていると、僕達の存在に気付かず話していた女の子達の声に居た堪れない空気になる。「本当、だったり」するのかと、問おうとして自分の狡さに口を閉じた。僕を映す彼女の瞳を見れば十分だ。
 噂話を訂正しなければ。僕も彼女を好きなのだと。そして間もなくカップルになった、ってね。


神様なんていない(Sebastian×転)
※遺物の闇の中クエ終盤

声は届いている筈なのにどんどん遠ざかる背中を必死で追いかけた。瞬きの裏には緑色の閃光が鮮やかなまま焼き付いている。
 ぱっと視界が開けたと思えば、先程までの追いかけっこが無かったかのように呆然と立ち尽くす後ろ姿を見つける。
「セバスチャン?」
 振り返った彼は、私の知らない人みたいだった。


友情の一歩先(Ominis)

「君は好きな奴がいるのか」
 顔を上げれば硝子玉のようでいて薄く靄が掛かったような幻想的な瞳。
 何を突然、と言いかけて思い当たる。ホグワーツでウンザリするほど溢れ返る噂の中に、私達の事を揶揄うものがあった。私を心配してくれているのだろう。
 でも御門違いも甚しい。
「貴方って言ったら、嫌?」


無理をするのは得意(Sebastian×転)

「・・・・・・君はそうやって、無茶ばかりするな」
 冷えた手が僕の背中を撫ぜる。
 厳しく叱ってやるつもりだったのに、抱き止めた彼女が今までにないくらい蒼白としていて泣きそうだった。それでも指先から伝わる微かな熱に安堵する。
 謝罪の言葉は聞きたくなくて、僕は何か言おうと開くその唇に自分の唇を押し付けた。








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