「ねえ、詩音ちゃん」
「おい、ホームルームの時間だぞ」
私の代わりに怒ってくれた幼馴染に声をかけようとしたら、先生が来ちゃった。
私が昨日の事、相談したからだよね。だから怒って、あんなことしちゃったんだよね。
ぼんやりと外を眺める詩音ちゃんに、ごめんね、って云いながら、隣の席の治くんを見た。
「痛くない?」
「痛いよ。じんじんする」
頬っぺ赤いもん。「女の子に引っ叩かれたの久しぶりだなぁ」
他に誰にされたの。
後で詩音ちゃんにちゃんと謝ろう。お昼休みの呼び出しも一緒に行こう。
ホームルームの先生からの伝達は、何も頭に入らなかった。休み時間も、一寸気まずくて、落ち着かなかった。
「詩音ちゃん、先生のとこ、一緒に行く」
「何で」
「原因作ったの私だし」
「あー……」詩音ちゃんは参ったな、というように髪を掻いた。「私がしたかった事だし。すっきりしたからチャラで良いよ」
それから、じゃあねー行ってくる!って、職員室へと向かった。ドスくんも付いて行くみたい。そうだよね、心配だもんね、彼女だもん。
「治くん」
「ん?」
ホームルームから、机に突っ伏したままの彼に声をかけてみる。気だるそうにお返事。
「お弁当、食べる?」
「私?人の選択が違うんじゃないの?」
「違くないよ。昨日ね、お別れしたの。あの後」
「そ」
机をくっ付けて、距離を縮める。大きい溜め息。恐る恐る背中を撫でる。
「卯羅、放課後空いてる?」
「空いてるよ」
「パンケーキ、食べ行こうよ」
そのまま横からぎゅっと。まだ突っ伏したままの幼馴染に抱き付く。
「行く!治くんと行く」
「あ、いや、パンケーキでなくても、ウサギカフェとか、そういうのでも……君が行きたい所行こう」
表情は見れないけど、心臓がドキドキしてるのが伝わる。私のかもしれないけど。どっちでも良いや。
お呼びだしから戻ってきた詩音ちゃんが、教室の入口でガッツポーズ。ドスくんが面白い物を見たように、ニヤニヤしてる。