ただ、面白い動画が録れるかなって、街をふらついていただけなのに。
この街が魔都だというのは聞いていた。ヤベェ街だって皆云ってた。
だからって、目の前で爆発するとは思わないだろ?!いや、普通、するか?しないよな……?反対側の歩道で起きた事件の規模の大きさに、俺は立ち止まった。
爆破された建物の入り口で、誰が叫んでる。
呆けて眺めてると、俺の横を誰かが走った。道路に呆然と停められた車の上を跳んで行く。
「卯羅!」その後ろからもう一人。同じ様に車の上に飛び乗った。いや、街だけじゃなくて、人もおかしいのか?「まだ一発残っている!」
そう云うが早いか、また爆発。と、風にのって葩。
え、まてまて!あの二人どうなった?え、平気?生きてるのか?
「怖かったですね、気付くのが遅くなってごめんなさいね。簡単にお身体の確認しますね。治さん、軍警に連絡を」
「了解。皆さぁん!お騒がせしましたぁ!この後、軍警が来るまでどうか、待機を」
男と女。あの叫んでたのは此方のおばさんか。男が女の人に触ると、彼女が付けていた花が消えた。手品か?
「熱傷がありますね……応急的に冷やす事しか出来ませんが、この後、軍警の方と共に病院へ。動揺なさっているでしょうが、お話を伺えれば」
「あの……貴女達は……」
「嗚呼、申し遅れました。武装探偵社の太宰です」
二人が黒い小さな手帳を出す。おばさんに見せて、俺達にも。武装探偵社って、本当にあったんだな。
それから数分もしない内に、警察車両と消防車が来て、現場の整理を始めた。おばさんは警察と一緒に救急車に乗っていった。
「探偵社の方々ですか?!」
「どうもぉ、ご苦労さま。大方、ポートマフィアの仕業だと睨んでいますが……」
男が警察と話している間、女の人は、辺りを見回している。そして、俺を見て、俺?近付いてきた。
「この街の方じゃ無いわね。携帯貸してくださる?」
「あ、え、はい」
大人しく携帯を差し出した。言葉は柔らかいのに、そうしなくてはならない、と命令されている様だった。
にしても、美人だな……胸、デカい……「此れ、貴方の端末?」
「そうですけど……」
配信画面、そのまんまなんだよなぁ。ま、善いか。ネタとしては面白いし。
「治さん、これ」俺の携帯を男に見せた。
「成程、知っていたという訳か」
男は自分を映しながら陽気に云った。「はぁい!此れを見ているマフィアの御仁!待ち伏せとはよくやってくれたねぇ!だが、相手が悪かったね。私と彼女が来るとは思って居なかっただろう?」声のトーンが一気に下がり、周囲が凍りついた。「だって、今日の非番は新人くんの筈だったからね」
見越してたとでも云うのか?いやいや無いだろ。それこそ、こいつが仲間なんじゃないのか?
云い終わると、少し携帯を操作して、返してくれた。「今回の動画は全部消させてもらったよ。控えも全てね。君たちが魚拓と云っている分もこの後、全て消させてもらうよ」
警察に挨拶をした後、二人は去っていった。
「目撃者の方ですね、任意ですが、捜査の為に事情聴取にご協力を」
「はい……」
安易に来るところじゃないな、横濱……。