矢張りこれだけは納得いかない。いくら治さんが仕込んだとは云え。
何でこの子と組まなきゃならないの?私が何か治さんに悪いことした?違う、そうじゃないの?じゃあ何でよ。
坂口さんの顔が無機質に成っていくのを無視しつつ、獄中の主人とやり取りをした。最後は勿論、私が折れました。治さんが考えることだもの、何か策があるのでしょう。
「大丈夫そうですか?」
「やるしかない」
合流場所に示された場所。昔取ったなんとやら。警戒しつつ、目的の人物を探す。
「?兎さん、どうし──」足元にすり寄ってきた、可愛い兎さん。確か和蘭陀の兎さん。濃い茶色の毛並みが、誰かさんを思い出させる。でも何でこんなところに?
何処かから逃げ出したんじゃない。直感的にそう感じた。取り敢えず付いて行こう。お望みでしょうから。
「此れが鼠のやり方かしら?」
案内してくれた兎さんを抱きながら、見たことのある女性に声をかける。ビクッと肩を震わせ、ゆっくりと振り向く。
「あ……あ……の……」声を震わせて目を見開いて。
「どうせ魔人に云われて、不本意ながらなんでしょ?」
私だって似たようなもの。あの人たちって何考えているか解らないから。
「ゴーゴリとシグマから逃げた後、急に消えるし、まあそれはそれで清々してたけど、今回は治さんの命令だから」
人見知りなの?こういう時駄目な性格なの?一向に言葉を発しようとしない鼠の目を眺めてみる。あからさまに動揺してるけど。
「あのね、一つ云っておくけど、別に刺されたことも、殺されかけたことも恨んでないから。昔はそういうのが茶飯事だったし、人間最後は死ぬしか無いもの」
「ちが……っそうじゃ、なくて……」
「じゃあ何?貴女の母親とも私は違うよ?」
やめてよ、あんな女と一緒にするなんて。少なくとも私は旦那には愛されてる。
さっさと終わらせよう。じゃないと色々面倒になりそう。
「一応、攻守は別けておこう。私が攻で、鼠さんが守。善い?」
頷いた。異能の特性上それしか無いわけだけど。
「却説、何から探る?任せるけど」
情報は鼠の方が集められる。動物でちょろちょろっと。鼠が数匹現れた。周囲を見渡しながら、それぞれが、右へ、左へ。
「見張りが、五十。武装は、銃と、監視装置と……」
待って。何が見えてるの?何処まで探ってるの。
「ゴーさん!」
「ゴーゴリ?!」
何で居るの?真逆、彼女が手引きして──
「鼠ちゃん見つけた!お花ちゃんも一緒だ!」
「ゴーさん嘘だよね、フェージャ殺さないよね」
「それはどうかな〜鼠ちゃん達次第!」
すると鼠が私に睨みつけるような視線を向ける。「これだけは守って。あんたがじゃなくて、私があんたに合わせるの!」
「……つまり?」あまりに強い語気に呆気に取られた。今までの感じは何処行ったのよ。
「ちゃんと説明してあげないと、お花ちゃん困っちゃうよ?二人は真反対の性質なんだから」同質じゃなくて?治さんも母様も、私の説明に納得はしていなかった。同じだと思ってたのは私だけなのかしら。「鼠ちゃんはね、ドスくんが、異能の効果を最大限に引き出すために、誰とでも仲良く出来るように育てたんだ」
「自分を目立たなくできるように?」
「うん流石!理解が早い!だからね、鼠ちゃんは自分主体で動くことが苦手だ。それで誰かとの調和を乱すことは不本意だからね」
ほら、握手握手。とゴーゴリが手を引っ張る。渋々握手して、一時休戦。
「これから楽しい冒険活劇の始まりだね!動物と花って、凄く可愛い絵面だ」
多分楽しいのはゴーゴリだけな気がする。