3.お前らさっき別々に帰ったよな?

仕事終わり。じゃあ、と二人は別れた。例の上司と例の部下。
俺は、部下の方に付いていった。
「誰?」
直ぐに気付かれた。
「『好奇心は猫をも殺す』って知らない?」
「生憎俺には学が無くてね」
お生憎様なのは、場所もだった。二人で立ち止まったのは路地裏。此処ならあの上司も来ない。
「何故、あの幹部様はアンタを侍らせるんだ?」
「さあ?太宰さんに訊きなさいよ」
目の前の女は一応は上司。だが、力では俺の方が優位だ。壁際に追い込み、脚の間に片足を入れる。逃げられなくしてやる。
「男と女、なのか?だとしたら相当善い具合なんだろうな」
「だとしたら?試す?」
俺たちが、俺たちの間で、自分がどういう扱いなのか教えてやるべきか。
「首領には不慮の事故と伝えようか」
聞き慣れたドスの効いた声。
「君も何遊んでいるの?」
「太宰さんが来てくれるって解ってたから」
後頭部をなにかで殴られた。俺はよろけて、倒れた。太宰さんの顔が、これ以上無い、冷酷な顔をしていた。
「こいつの処分は卯羅に任せるよ」
その後の記憶が、俺にはない。

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