上司に取り急ぎ、報告を───
廊下を走って、執務室を目指す。重厚な扉をノックしたら、例の部下が応えた。中に通され、報告をする。
「つまり、要約すると『君達だけでは荷が重い。上を派遣しろ』ということかな」
やっと書類から目を上げた、と思ったら俺の奥を眺めている。それから、少し口角が上がった。
「なら、彼女を連れていくと善いよ。君達にマフィアのやり方を教えてくれるだろう」
「ですが太宰さん、彼女は──」
アイツは上の人間では無いはず。俺たちが今、現場に望んでいるのはアンタだ。
「彼女は君達より余程純粋なマフィアだよ」
俺の横を通り抜けて、女が太宰さんに近付く。そして上司は耳打ちした。
「失敗した場合の責任は全て彼女に負わせれば善い」
そして、俺は、同僚の女と現場に戻った。
「嗚呼、芥川くんも居るんだね。なら安心だ」
「尾崎さん!太宰さんは!」
「ごめんね、でもちゃんと太宰さんには伝えるから」
あの芥川の頭を撫でた。抵抗しない芥川なんて初めて見た。
何故、太宰さんが侍らせるのか。理由が少し解った。あの女は、太宰治に無いものを持っている。