私だってムッとする事ぐらいある。例えば、姉さんに楽しみにしてた後菓子を食べられたとか、お気に入りの服に血が着いたとか。
でも、一番ムッてするのはやっぱり───
私と太宰さんは紆余曲折あって、お付き合いすることになった。私が、彼を狂おしい程に愛してると気付いたのは、彼の遊び相手を消してから。私だけの彼で居て欲しい。そう願っていた。
関係部署との打合せを終えて、報告がてら、太宰さんの執務室へ向かう。その途中で下の方の構成員に遭った。女性の構成員って意外と居るんだなと、思いつつのんびり歩く。何か聞き覚えのある声がするな、とも思いつつ。
やっぱりだった。
美人だし、地位も権力もあるし、そりゃあ、群がるでしょうよ。でもね、彼は私の上司で、彼氏で──
「お、治さん!」
「やあ卯羅。どうしたんだい?私の名前を呼ぶだなんて」
話していた構成員から離れて、私の額に口付ける。腰が密着する。嗚呼、視られている。普段は会わないような、駒も駒、そんな女たちに視られている。
「妬いた?」
耳許で囁かれた。ぎゅっと彼の外套を握った。其れを肯定と捉え、短く笑った。
「此処でシても善いよ私は」
「馬鹿!仕事の報告しに来ただけだから」
「なら、執務室で待っていれば善かったろうに。態々遠回りして、何か期待してたの?」
耳を、甘噛みされた。
ちょっと嫉妬したばっかりに、私はこの後、彼に嫌という程溺れさせられ、愛を刻まれる。彼の歪んだ愛を刻まれるんだ。