部下と一線を越えてからというもの、度々その身体を求めた。他の女とは違う何かが、其処にあった。
「ねえ……」
声をかけて、手を伸ばす。後ろから抱き締めて、頚に顔を埋め、香りを鼻腔にたっぷりと充填させる。
「太宰さん……」
「治、と呼んで」
「治…さん……」
「何故敬称を付けるの?」
「だって、貴方は……」
「卯羅……」
耳元で低く、唸るように名を呼ぶ。其れだけで、身体を硬直させる。
「私達はもう、唯の男と女だよ。肉欲に溺れるだけ」
彼女の力が抜けた。そのまま寝台に押し倒す。
「治……」
誘っているのは私なのに。敷布に散らばる髪。呼吸の度に揺れる乳房。潤んだ瞳で私を見詰め、潤う唇が私の名前を呼ぶ。外套と背広を脱ぎ捨て、ネクタイを緩めた。彼女の息が荒くなった。
「欲しい?」
ゆっくりと頭部を縦に動かした。永い夜が、また、始まる。