何処へ行っても母の日。
母の日ってそういえば、何かしたこと無いな。何をすれば善いんだろう。
お花、あげたら善いのかな。でも私のお花は、厭。だって母様を病気にしちゃうもん。取り敢えずお花屋さんに行こう。午後お休みだし。
主流は麝香撫子。母様の紅みたいで綺麗。
なんでだろうな。
なんで私のお花は綺麗じゃ無いんだろう。
血に汚れたようなくすんだ色。全然綺麗じゃないの。綺麗なお花を見ながらだったら出来るかな。
「能力名」小さく呟いて麝香撫子を咲かせてみる。矢張。なんにも変わらない。同じお花なのにな。何でかな。考えてたって埒明かないよね。
「卯羅や」
大好きな優しい声に振り向いた。母様が日傘をさして立っていた。
「母様、あのね、今日ね、母の日だから、母様に何かあげようかなって。それでね、お花見てたの」
何れが好き?って訊いてみた。そしたら笑って「可愛い娘が選んだものであれば、私の宝には変わらぬ」
「じゃあ私が母様にあげたいお花で善いの?」
「無論じゃ」
また少し悩んで、店員さんに声を掛けた。「麝香撫子と霞草で、花束をお願いできますか?」
快く引き受けてくれた。赤と白とで綺麗な色になると思うの。
出来上がるまで、母様とお店のお花を眺めてた。
「卯羅の花も、充分に綺麗だと私は思うぞ」
「でもね、くすんでて厭なの」
椿を品定めしながら、母様が笑った。「そなたの花は特別な花。他と同じでは詰まらぬ」
店員さんが持ってきてくれた花束を受け取って、そのまま母様に渡す。
「母の日……ありがとう?」何か変な感じがするけど。相応しい言葉は、ありがとう、しかない。
「そなたの母に成れて嬉しいぞ」