体育(準備体操をしよう)

冬の体育館というと、全てのストーブの親玉だろうなという大きさのストーブが一番の人気者だ。曲者4人組──中原中也を除く3人も例外なくそこに集う
「動きたくないよー」
「奇遇だね私もだ。ここに永住したい」
「動けば暖かくなるの分かってるけどさ…」
中原はゴールポストを設置したりと既に準備をしている。
「小さい子は元気だねぇ…」
「聞こえてんぞモヤシ」
教師が集合の笛を吹くも、3人はストーブから動かない。
「またお前らは」
「卯羅が動かないの珍しい」
「ストーブが離してくれない…あっ先生、今日治くんは見学でお願いします。腕を受傷してます」
「今日"も"だろ。後でレポートを書いて提出するように」
「卯羅任せたよ」
だろうとは思っていたが、卯羅は少しだけ首を縦にふった。
「先生!私も休みます!」
「尾崎姉!お前は出ろ!」
ストーブの主と化した男は姉妹を送り出す。
準備体操で身体を暖めてから男女に別れ、基礎練習を行う。
「太宰くん本当に見学?」
「うん。見学。心配性でね、うちの人」
「太宰くんと中原くんのチーム見たかったなー」
その言葉に反応したのは彩ではなく卯羅だった。彩は卯羅のジャージを掴み落ち着けと促す。
「仕方ない。事実二人は格好いい」
「でも太宰治は私のだもん…」
「中原中也だって私のだわ」
噂の中原中也は、次々にシュートを決め、華麗にパスを回し、指令をだし、優等生そのものだ。
「腹が…見える……!」
「彩も落ち着いた方がいい」

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