四ヶ月

お腹が出てきた。少しずつだけど、お腹の中で育ってる。それに伴って、お乳もまた膨らみ始めた。
「卯羅、触っても善い?」
「まだ動かないよ?」
胎動を感じるには、まだ早い。それでもお腹を撫でて、気配を感じ取ろうとする治さんが可愛い。
「今日は、必要物品を揃えに行かない?」
色々調べたのだよ、とこの時期、これから必要になる物の一覧を見せてくれた。
「全てが必要という訳ではない。卯羅の様子を見ながら揃えよう」
「ありがとう」
近くの薬局で、保湿剤を購入。妊娠線は絶対に付けたくないと治さんが意気込む。
「もしね、塗るのが怠くなったら、私が塗ってあげる」
妊婦用の服や下着を揃え、帰宅する。
「妊婦さんは大変だ……」
「何で?」
「だってそうだろう?自分の体調を犠牲にしながら、赤ん坊を育てる。夫の面倒みる女性も居るって云うじゃないか」
「治さんは、優しいよね」
私も私なりに、妊娠中の生活について調べた。必要な情報に必ず付いてくる、無関心な夫の話。幸い、私の主人はそうでは無さそうだ。
「だって、支えなくちゃ。二人の我儘、ううん、二人で望んだ子なんだから」
「そう云ってくれる旦那さんで嬉しい」
また例の不快感が襲う。治さんに膝枕をしてもらい、横になる。前よりも頻度は減ったのが幸い。
「ゆっくり呼吸して」
彼が撫でてくれる速さに合わせて、ゆっくり、ゆっくり。お夕飯作らなきゃなあ、何食べようかなあ、と考えているうちに眠気がやって来る。
「簡単な汁物でも作ろうか?」
「治さん作れるの……?」
「私に不可能は無いよ?」
そうだ、龍頭だかの頃に徹夜で苦しむ坂口さんと織田作に、自作の水炊きを作ってたな。
「なら、お願いしちゃ───」
待って。駄目だ。水炊きの末路を思い出した。二人は頗る元気になったものの、食してから数日の記憶が無いと云っていた。
「一緒に作ろう、治さん」
「無理しないで善いのだよ?」
椎茸と人参を持って、首を傾げる姿は可愛かった。
「前科持ちでしょうが」
「多方面にね」
前掛けをしてやる。いつか、一緒にこうやって、台所に立ちたいと揃いで買っておいた。
「卯羅にもしてあげる」緩く結ばれた腰紐に愛情を感じた。「調味料取ったり屈むのは私、する」
「私ね、卯羅とこうして居るの好きだよ」
戻すためボウルの水に浮かべた干し椎茸を突きながら笑う。
「大根剥いて、短冊切りにして」
急にそういう事云うから。大根と包丁を押し付けた。旦那は無自覚に口説きすぎだと思う。
「照れてる」
いいえ、自覚ある。この男は。
「そりゃあ照れるでしょうよ!こんな美人が、そういう事、云って……」
「卯羅にしか云わないよ?」
「私以外に云ったら三行半だからね」

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