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此の日を、此の家で、一番心待ちにしている者。当たり前だが、私たちの息子。部屋中にきらびやかな飾りを付けて回る。雪だるまのぬいぐるみを抱き締め、歌を歌う。
「ほら修治、私の処においで」
「パパー!あのね、スノーノーもけぇきたべるー!」
「へえ。ママが美味しいの作ってくれるって。そら、降誕祭のご挨拶は?」
「めりーくぃっちゅまーちゅ!」
3歳にしては、滑舌が心配だが、頗る健やか。
「明日は探偵社で降誕祭招宴だからね。さあ、降誕祭の手遊びは?」
遊園地で見たショウの手遊び。雪を降らせ、鈴を鳴らす。
「修治、上手に出来るね」
「ママー!」
明日、持っていく料理を仕込み終えた卯羅。即座に駆け寄っていく修治。
「明日楽しみだね」
「あっくんたちにみせるの!」
「楽しんでくれると佳いね」
「卯羅、明日の仕度は平気かい?」
「お料理の準備は終わったよ。あとは此の可愛い子を寝かせるだけ」
修治を抱えて布団まで運ぶ。頭部だけ出して、私たちに笑いかける。お気に入りの縫いぐるみは自分の左右に並べる。
「パパーサンタさんくるー?」
「善い子であればね」
「パパにもくる?」
「パパはもう大人だから来ないよ」
「かあいちょ……」
昔は森さんが贈呈品を配ってくれたっけな。卯羅と彼女の姉は、姐さんからも貰っていた。
「さあ、おやすみ、私たちの可愛い修治」
「明日、敦くんたちと招宴楽しもうね」
頭を撫でてやると、小さな欠伸をして、夢の世界へ渡航を始めた。
居間へ戻り、二人でゆったり前夜の夜を過ごす。
「私にとっての贈呈品はこの子。治さんからの一番の贈呈品」
「大変なのは君なのに」
「治さんが選んでくれた証拠だもん」
「卯羅だって狡いじゃあないか」
私の事を「狡い」と日頃評する。彼女の方が何倍も狡い。そうやって、嬉しそうな顔をする。妊娠中も、嬉しそうに腹を愛で、太宰との子だからと、幸せそうだった。
「そんな事、云われると離れられなくなる」
珍しく、彼女から口付けられた。はにかむのが、愛らしくて、愛しくて、更に口付けた。
「降誕祭おめでとう」

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