「ねえ、母様から電子手紙きた」
「何て?」
「孫に会わせろって」
笑ったものの、口の端がひきつった。
「これからばぁばに会いに行くよ」
「ばぁば?」
「ママのママだよ」
姐さんに部下を連れてこない、単身で来ることを約束させた。場所は探偵社の近くの喫茶店。『うずまき』では、色々面倒だから、別のね。
「母様、久しぶりだな……」
集合場所に着くと、居た。紅蓮の髪に、上等な和服。紅の番傘を携えている。
「母様!」
「おお、卯羅。息災か?此の坊主が孫かえ?可愛いのう」
「ばぁば?」
「姐さんって呼ばないと怒るよ」
姐さんがキッと私を睨んだ。
「やあ、姐さん。約束は守っておくれよ?じゃないと、可愛い孫が危ない目に遭う」
「昔から口ばかり達者じゃのう、小僧」
一先ず喫茶店に入る。お子さまは甘味炭酸水。大人は腹の探り合い。
「ばぁばあのね、しゅーじね、かあいいぞーさんもってるの!」
連れてきたぬいぐるみを見せる。産まれたときから一緒の象さん。
「修治と仲良しなのか、無くさず持っておるのだぞ?」
「うん!ぞーさんね、しゅーじといっしょねんねして、いっしょごはんたべるの!」
「そうか、良い友を持ったのう」
警戒心が無いにも程がある。いざという為に、谷崎くんを少し離れた席に配置をしてはいるが。
「母様」
「何じゃ」
「ずっと、連絡できなくて、ごめんなさい」
「気にするでない。お前たちにはお前たちの事情がある。私が掴み損ねた光をお前は掴んだのじゃ」
「姐さん、改めて挨拶をさせて欲しい」
私と卯羅は、居住まいを正した。修治は母親の隣で、お絵描きに勤しむ。
「事後報告で大変失礼を致します。この度、尾崎卯羅と入籍致しました」
「お前たちがまだ組織に居れば、と何度思うたか……だが、居たら此の生活は無かったのであろう?」
私にもよう解る、と姐さんは茶を啜った。
「子の幸せは親の幸せじゃ。例え血の繋がりが無くてもな。卯羅、太宰をしっかり繋ぎ止めよ」
「あのね!ママと、パパ、すっごくなかよしさんなんだよ!あとね、しゅーじがだいすちなの!」
幼児爆弾。姐さんは、そうかそうか、と笑った。
「ほんに可愛い子じゃ。笑った顔が卯羅そっくりじゃ」
「可愛いだろう?修治、佳かったじゃあないか」
「しゅーじもみんなだいすち!」