尾崎卯羅。私の部下であり、私生活での相棒。彼女の異能は彼女の外見に反して物騒だ。
ポートマフィア五大幹部の一人、尾崎紅葉が彼女の養母だ。それもあってか、紅葉の姐さんの手伝いをすることも多かった。特に拷問部隊が手を焼く相手の口を割らせる仕事は何度も承った。
その仕事をした後は必ず彼女を抱いた。何度も繰り返し。本人も全く抵抗しなかった。
首筋から舌を這わせ、愛撫しながら脱衣させる。血の臭いの奥底から彼女の匂いが薫ってくる。そのまま胸に顔を埋めた。着痩せするのだろう。割りと豊満だ。
「落ち着くんだ…こうしているのが」
彼女の腹を撫でながらぼうっと思案する。私の髪を鋤くように撫でる彼女の手は優しい。その手が徐々に下へと降りていき、するりとタイを取り払った。そしてそのまま、自ら後ろへ倒れ込んだ。私の重さに押されるように。けれど、その重さを受け入れるように、ゆっくりと。彼女の指が釦を外していく。そしてベルトが金の刻み善い音を立てて外された。その音を合図とするように私は躯をもたげた。
「したい?」
「此処までしておいて?」
彼女の指が私の薄い腹を撫でる。無論私の眼下にある腹よりは割れているが。
此れでもかという程口付けた。私の本能がそうさせた。虚空に引く余韻に私は口角を上げた。一人の女─いや雌を求める雄。其れが今の私の姿。他の男を屈服させた故の興奮か。私の本能は止まらなかった。この女の主人は私だということを視覚的に著してやろう。首筋に噛みついた。そして胸元。服が肌蹴た時に見えるのが善い。犬歯が肌を裂く感触がする迄刺し込む。彼女は悲鳴を上げない。寧ろ自分の身体を勝手に噛みちぎる男を見守り、優しく子供をあやす様に頭を撫でる。
「痛くないの?」
「そうやって訊いちゃう太宰さんの方が痛い」
最もだなと思った。自分の行為を自ら否定するような言葉だ。そして彼女の言葉をこの行為に対する肯定と捉えた。
私は更に下へと食事を進めた。腹部を通過し、大腿に口付けた。
ふとあることに気付く。肌が所々変色している。それは裂かれた所が新皮質で覆われた所為だ。受けた傷によって彩られている。その彩飾を指でなぞった。敏感なのか、身体を震わせる。
「あんまり眺めないでよ……」
何も言わずにただ眺めていた。私の命で受けた傷。私を庇って受けた傷。そんなものばかりだろう。
「此処の傷は?」
「太宰さん追いかけようとして廊下で転んだ」
私と同じ類いだ。
「なら、仕方ないね」
どうも私は前戯というものが苦手らしい。幸い、何処を触れば女が鳴いて悦ぶかは心得ていた。その覚えの通りに彼女に快を与えていく。
秘部に指を這わしゆっくりと中に埋めていく。早く此処に入れてやりたい。彼女の矯声と共に粘液が絡み付いてくる。手指にまとわるそれは、もう受け入れられることを示唆していた。
「もう、善いだろ?」
腰の跳ね方を見る限り、限界が近いようだ。脱力し、肩で息をしている。私は遠慮なく雄を入れ込んだ。
侵入を拒むように背を反らす。腰を持ち、そのまま奥へと進めた。
「だざ……」
怠そうに腕を私に伸ばした。それに答えるために、深く舐め回すように口付けた。
彼女が気持ち善いか、というのは私のなかで二の次になっていた。先ずは自分の欲望を充たす。律動を徐々に速め、もう言葉を紡ぐことすら出来ない部下を刺激し続けた。背に爪が食い込む。それすら愛しい。やり場の無い快楽が、雌としての悦びが、彼女の中で渦巻いているのだろう。締めが徐々に強くなり、其れに伴って、互いの息遣いが粗くなる。私たちは嫌というほどに口付け、求めた。
そして、不躾に、慾望のまま、彼女へ注ぎ込んだ。
少しの間もなく、従順な部下を四つん這いにさせた。本人の許可を取るでもなく、再度、挿入した。背後から、覆い被さるように、加重をすれば、自然と頭を垂れる。
「ねっ……加減、してっ……」
「無理……っ」
襯衣が汗を吸収することを諦めた。それだけ激しく求めた。再度、中に注ぐ。ゆっくり引き抜くと、卯羅は身体を震わせた。そして尻を掲げたまま、息苦しそうに呼吸をしている。その姿を暫く眺めていた。
「まだ、する……?」
「君はどうなんだい?素直にお成りよ」
何時もいつも、自分ではなく、私を優先する。性交の時ぐらい、本能に従ってしまえばいい。
「太宰さん……」
体勢を建て直し、私を見据える。そして其処から、私の股座に顔を埋めた。萎えることを知らない其れは、即座に膨張し、反り返る。激しくも丁寧に、雄を慰める部下に、欲情しない訳がないのだ。裏筋を舐められ、先端に吸い付かれ、限界を迎えた。彼女の頭を抑え込み、咽喉の奥へ放つ。噎せ込みながらも、必死に総ての液を飲もうとする姿が、憐れだった。
「んっ……ぁっ……太宰さん……」
「まだ欲しいかい?とんだ淫乱だよ」
耳元で囁くだけで身体を震わす。加虐な私が頭角を現した。寝台から寝椅子に彼女を運んだ。そして私の膝に座らせた。
「なに……?」
「足、開いて。椅子の上に乗っけても良い」
幼馴染は素直に脚を開き、椅子の上に乗せた。向こうから見たら、卑猥極まりないだろう。もっと、自由の利かない姿に───知らぬ間にそう考えていた。私にすがり、私を求めて欲しい。醜い考えに捕らわれ、その辺に落ちていた包帯で、白く細い両手首を祈る様な姿で、括った。
「さて……感想は?ほら、脚閉じないで?ご覧よ、私と君のが混ざり合って、伝ってきてる」
秘部の内壁を、指で擦る。まだ中へと進めていないのに、身体が跳ねる。侵入口は焦れったそうに、粘着質な音を立てていた。
「やだ……もう……ゃめ、」
「なら、止めるかい?」
首を横に降った。私で無ければ見逃してしまいそうな程小さく。
ご希望に添って、中へ指を入れた。何度も達した其処は、一度に三本も食す位強欲に成っていた。剰りによがる姿が激しく、落ちやしないかとひやひやした。落ちぬように抱き留めてやろう。私は主張の激しい乳房を掴んだ。一層の甘い声が響く。
この質量のある乳房。欲しくて堪らなかった。それだけ彼女自身を渇望していた。永遠に、このまま、私だけの傍に居て、私だけを満たして欲しい。
弱い処を同時に攻められ、耳元で卑猥な言葉を囁かれる。簡単に彼女は達した。それでも物欲しそうな顔をしている。
「此れで終わり」
「やだぁもっとシよ?もっと太宰さんの欲しい」
首筋から耳へ執拗に舐めてくる。顔を此方に向けさせ、舌で口腔を犯した。離すと、始めに口付けた時よりも互いに興奮しているのが見てとれた。
腕を私の頚に回させ、向かい合う。椅子に膝をつき、私に乳房を圧し当て、ゆっくり雄を受け入れる。ぐじゅり、たっぷり分泌された粘膜が擦れる音がする。最奥まで入れると其れの衝撃だけで彼女は達した。
「早いよ」
背筋をなぞれば、甘い声と共に腰を浮かす。腰を浮かせたところに勢いよく打ち付けた。強すぎる快に喘ぎすら出来ず、苦しそうにもがく。
「卯羅…善いよ……もっと乱れて……」
「だじゃ……ぃ……」
「ねえ、治と呼んで?治と」
「おしゃむ…っ……だめむりぃっ」
必死に私の命に応えようとする姿が愛らしくて、いじらしくて堪らない。私の物にしよう。私だけの物に。姐さんにも誰にも渡さない……。
私は幼馴染の腰を引き寄せ、可能な限り奥へと、私の欲を吐き出した。
腰を痙攣させながら、私に寄りかかる。ゆっくり頭を撫でてやる。
「太宰さん……」
「痛む?歯止めが利かなくてね」
「満足した?」
息も絶え絶え、そんなことを聞いてくる。
「してないって云ったら?」
「……付き合う」
嘘だよ、と笑いながら答えた。彼女の腰を浮かせて、萎えた其れを引き抜く。少しだけ伝って垂れてきた。
どうやれば喪わなくて済むのだろう。この多幸感を。愛しさを。
一緒に風呂に入り、身体を清めた。女はもう眠くて仕方の無いらしい。男は一方で目が冴えている。そのまま寝台に運んだ。私の腕で眠る部下。時折、私の胸に頬擦りをする。このまま、閉じ込めてしまいたい。
私の中に、永遠に。
最期まで、私のだけで居て。