031
「つっ…」
アンダーを脱ごうとしてわき腹が痛み、咄嗟に声を殺した。
…こりゃ明日の朝いつのまにか治ってた、なんてわけにはいかなそうだな。
「…でさー!花城さんにちょっと似てるグラドルが…」
「あっ…!」
脱衣所のドアが開いて、1年二人が入ってきたが、俺に気付くと慌てて出て行こうとした。
「御幸主将すみません!」
「失礼しまし…」
「あぁいや…俺が遅くなっただけだから気にすんな。入れよ」
「は…はい」
2年が少なくなってきてから風呂に入ろうと思ったけど、1年の早い奴が入り始める時間だったらしい。
まぁいいか、と服を脱ぎ、居心地悪そうに服を脱ぎ始めた1年の背後に近づいた。
「…で、誰に似てるグラドルだって?」
「えっ…」
二人は青ざめて、すいません、と呟いた。
***
明日は決勝。俺は早めに寝ることにして、アイマスクをしてベッドにもぐった。
花城とは文化祭以来まともに話していない。東条とは仲良くしてるようだけど…この間は東条と話してる花城が明るく笑ってたから驚いた。俺の前じゃあんな風に笑ったことない。いつも冷たくて、まるで野良猫が威嚇するように、これ以上近づくなって顔をしている。返事はいつも素っ気ないし、態度もつれない。
だけどふとしたときに弱さを見せてくれたり、逆に驚くほど強かったり…泣き虫なくせに負けず嫌いで、皆の前ではいつも澄ました顔をしてる。自分を完璧に見せようと強がっているように見える。そんなに頑張らなくても…十分、可愛いのに…
あー俺、何考えてんだろ。花城のことばかりだ。
暫く話していないのは、秋大が始まって忙しく、他のことを考えてる余裕がなくて、花城に絡むのを控えているのもあるんだけど。しかし、俺が行かないと花城と顔を合わせることってほとんどないんだな…。
望みなんてないのかもしれないけど…花城にとても惹かれている自分がいるから、この勘を信じたい。
秋大が終わったら…また少し、しつこくしてみよう。
どうせ、あっち行けって言われるんだろうけど。
そう考えると少し頬が緩んでしまい、わき腹の痛みを一瞬忘れていたことを思いだした。
「うわっ…コイツニヤけてるぜ、きめぇ…」
「…倉持クンいつからいたの?」
prev next
Back to main nobel