「…今期から生徒会副会長を務めさせていただく、2年E組の花城光です。皆さんが楽しく学校生活を送れるよう、そして生徒会長をサポートできるよう、精一杯頑張ります。よろしくお願いします。」

全校朝礼で、壇上に並ぶ数人の生徒たち。その中でも光は一番際立って綺麗で。前に進み出てそう宣言する光に、大きな拍手が起こった。
光が一礼し、生徒会の列に戻っていく。代わりに進み出たのは、この間見かけた知的な男子生徒。

「…今期から生徒会会長を務める、2年B組の周防衛です。まずはこのような大役に推薦していただきましたこと、感謝申し上げます」

低く穏やかな…だけど芯の通った声。体育館内はしんと静まり返った。

「私が生徒会長に就任したからには、全力で職務を全うさせていただきます。皆さんがより良い学校生活、そして目指す進路に向けて邁進できるよう、日々努めます。何か不安や要望があれば、気軽に声をかけてください。よろしくお願いします。」

周防が深く頭を下げると、一斉に拍手が起こった。なんか、アイツが推薦されるのもわかったような気がする。アイツのこともよく知らないけど、あれだけ生徒会長にハマる優等生は、なかなか他にはいないだろうと思う。

「なんかすげえな、今年の生徒会長」
「すげー頭いいんだってよ、あいつ。ずっと学年一位らしい」
「えー、やばっ」

さっそく噂話が聞こえてくる。周防か…すごい奴がいたもんだ。



***


「帰ろうぜ」

放課後約束していた光を迎えに2年の教室まで迎えに行くと、周りの注目を集めながら照れ臭そうにやってくる光に頬が緩む。

「お幸せに〜!」

その光の背後から大声で手を振って見送る鷹野。いつもの光景だ。

「どーも〜」
「もう…」

ふざけて手を振り返すと鷹野がケラケラ笑い、光は呆れた目で俺と鷹野をにらんだ。
昇降口を出て光の家の方面へ向かって歩く。最近の放課後は大体、途中でコンビニに寄り道したり、公園のベンチで少し話したりして、光を家まで送り届ける。
その別れ際がいつも、名残惜しくて胸が苦しい。

もっと一緒に過ごしたい…。毎日光と一緒に過ごせたらどんなに幸せだろう。
いつか一緒に暮らそうって言ったら、光は頷いてくれたけど。そのこと、光はどんなふうに考えてんのかな…。

「ね…寮の見学してきたんでしょ?どうだった?」

ふいに光がそう話を振ってきた。そう、この間の休みに、俺は入団する予定の球団の選手寮を見学しに行ってきたのだ。

「あー、まあ…一人部屋になるってだけでサイコー。」
「あはは。」

欲を言えば光を呼べたらもっといいんだけど…あー早く寮を出たい。
お手はじれったい気持ちのままに、光の手を掬い取って指を絡めた。
光は頬を染めてはにかんで、黙り込む。
もうあんなこともしたのに…手をつなぐだけでこんな反応するの、可愛すぎる。

…なんかムラムラしてきた。

「…早く一緒に住みてぇな…」

ぎゅ、と光の手を握る力を強めて、俺はこらえきれずに吐露した。

「……。…あの…。…今日、お父さんいる…」

光が言いづらそうにぎこちないたどたどしさでそう呟いて、俺はハッと自分の言動を振り返った。

「…え、いや、…違うからな?そういう意味じゃ…」

エロいことしか考えてない男だと思われたくなくて慌てて弁明すると、光は赤い顔に目を潤ませて俺を見上げた。

「え…、違うの…?」

え…!?な…なにその反応…!?

「いやっ…、違、うって…いうか…」
「…んん」
「そりゃ…、…したいけど!それだけじゃなくて、普通に、ずっと一緒にいたいっていう…」
「……。」

光は顔を真っ赤にしてうつむいた。何言ってんだ俺。いますげぇ恥ずかしいことを口走ったような…。

「…うん…私も…。」

すると光がそう呟いて、その驚きと喜びに俺がぽかんとした隙に、また恥ずかしそうにうつむいてしまった。

「すげぇ今…抱きしめたい」

住宅街のど真ん中で、俺は正直に打ち明ける。光はそっぽを向いたまま、だけど真っ赤になった耳をのぞかせたまま、小さな声でつぶやいた。

「…だめ。」

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