翌日…文化祭が始まる前に準備を進める教室に行くと、みんな忙しそうに走り回っていた。

「鷹野〜、これここ?」
「うん!しっかり留めといて!」
「司ー!受付の看板どこ!?」
「さっき早川君がもってった!」

特に鷹野は学級委員長として指揮をする立場で特に忙しそうだったから、俺は昨日のことを話すのを躊躇った。
でも今日、花城は多分…来ない。

「ねえ、誰か光見なかった?」

その時鷹野が困った顔でスマホを見ながらそう言って、俺はぎくりとした。

「見てないよー」
「まだ来てないんじゃない?」
「えー遅くない?」
「花城さんが遅刻なんて有り得ないと思うけど」

みんなも花城を気にし出した。どうしよう…

「光にLINEしたけど既読つかないんだよね〜…」
「ちょ…ちょっと鷹野。」
「ん?」

俺はこっそりと鷹野を呼んでみんなから離れた。

「どしたの東条くん?」
「あのさ…実は昨日、帰りに…」

俺は声を顰めて昨日の帰り道で起きたことを鷹野に話した。話すにつれ、鷹野の顔が固まり、青ざめていく。

「まだ、詳しいことはわからないけどな…」
「……うそ……。」

鷹野は青い顔で口元を抑え、呆然とした。

「だから今日…花城は来ないと思う…」
「そ…そうだね…」

俺がそう言うと、鷹野は深刻な顔で小さく頷く。その時教室のドアが開いて、担任が入ってきた。

「あー…みんなお疲れ」

担任の表情は暗く、何か言いたげで、その雰囲気はとても文化祭初日とは思えない暗さで…
みんなが不思議そうに作業の手を止めて担任に注目する中、俺と鷹野は思わず顔を見合わせた。
みんながただならぬ空気を察したのかすぐに静かになった教室で、担任は言いづらそうに口を開いた。

「実は…昨日、花城のご両親が亡くなった」

シン…と静まり返る教室。

「え…?」
「うそ…」
「え、やばくね…?」
「なんで…」

みんな深刻な顔つきになり、狼狽え始める教室内。文化祭初日の朝に、思いもよらない訃報を聞けば当然の反応だ。

…ご両親…やっぱり…亡くなったんだ。
俺は昨日の夜、パトカーを見送りながら嫌な胸騒ぎがしたのを思い出した。
花城…大丈夫かな…。

「だから今日も明日も花城は来られない。来週いっぱい学校は休むことになった。再来週登校してきたら…みんな、サポートしてやってくれ。」

担任はそう言って、静まり返る生徒たちを見渡した。

「…はい!それじゃ、文化祭頑張って!花城も来られなくなったの謝ってたから…みんなで成功させよう!」

その号令で、生徒たちはおずおずと動き出し、それぞれ準備を再開した。
鷹野は俺を見て、泣きそうな顔で、俯いた。

「光…。」

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