「はあっ…、はあ…っ」
汗だくになった体を横たえた。乱れた呼吸にあえぎながら、隣に横たわる光を見る。
光はどこかぼうっとした目で俺をしばらく見つめて、肩で息をしながら不意に目を伏せて起き上がった。
「疲れた?」
俺も起き上がって汗をぬぐいながら尋ねる。光は少し微笑んで、布団を手繰り寄せて体を隠した。
「シャワー使っていいよ」
「え…、あ、うん、じゃあ…借りるわ」
「うん、タオルは棚にあるやつ使って」
「ありがと…、でも光、先浴びる?」
「私はいい」
どことなく素っ気なさを感じて違和感を覚えながら、俺はベッドを降りた。
「そ…?じゃあ…浴びてくる」
「うん」
ぼんやりと座っている光が気になりながらも、俺はシャワーを浴びに行った。
頭からシャワーをかぶって汗とぬるぬる肌にまとわりつくモノを洗い流し、さっぱりとしてタオルを腰に巻いて部屋に戻る。
光はもうすっかり服を着て、俺の服を畳んでいた。
「あ…。はい」
「ありがとう…」
どこか心ここにあらずな光の目つきが引っかかりながら、差し出された自分の服を受け取って着た。
さっきは…セックスをしていた最中は、これでやっと…光と元通りになれるって思ってた…。
だけど…。
今の光はどこかよそよそしく、壁を感じる。
「光…、」
服を着て、俺は光のそばに座った。
俺たち…、
また…付き合える…のか?
光はどういうつもりで…さっき、俺とセックスしたの?
聞きたいこと…確かめたいことがあふれてくる。
「…大丈夫か?」
だけどまずは、さっきまで泣いていた光を思って、そう聞いた。光は口元に笑みを浮かべて頷いた。だけどその表情はすごく悲しそうに見えて、とても大丈夫そうではなかった。
また付き合ってくれるんだよな?…なんて、聞けない雰囲気。だけどここまでしておいて、何も言わずに帰るのも…。
「もう大丈夫だから…、…帰って」
その時光がそう呟いた。顔も上げずに、うつむいたまま。
「…そうは見えないんだけど」
「そんなことない。大丈夫だよ」
光が顔を上げ、少しだけ俺を見る。表情には笑みを浮かべていたけど、無理をしているようにしか見えない。
「もう遅いしさ…」
「平気だよ、そんなの」
「私…明日の朝早いから。」
光はまた俺から目をそらしてしまった。
「ごめん…帰って」
「……。」
なんでまた…遠くなるんだ。
「…わかった」
俺は立ち上がって荷物を拾い上げた。
「また連絡するから…」
せめてもの思いでそう言うと、光は悲しげな笑みで、うん、と頷いた。
***
「遅かったな」
帰宅途中で買った夕食を寮の食堂で食べていると、風呂から部屋に戻る途中だったらしい倉持がやってきて俺の前に座った。
「まあね」
「どこ行ってたんだよ」
「関係ないじゃん。お前は俺の保護者ですかー?」
「…なんで髪濡れてんの?お前」
ぎくり。ほんと鋭いわこいつ…
「ジムでシャワー浴びてきたからだよ」
「……。」
腑に落ちないような疑っている顔で俺をにらむ倉持。
「何?食べづらいからどっかいってくんない?」
「…チッ」
倉持はまだ何か怪しんでいるようだったけど、追及するのも嫌だったようで不服そうに去っていった。
まあ光のところに行ってた…で、シャワー浴びて帰ってきた…ってことは……。…なんて、確信したくねーだろうしな。
…光、大丈夫かな…。