「忙しそうだな。」

休憩中、スマホにかじりついている俺を珍しそうに見た先輩が言った。

「彼女に?」

俺のスマホの画面には女性もののアクセサリーの画像が並んでいて、俺はとっさにスマホをしまって苦笑を浮かべた。

「いや…、彼女っていうか…」

付き合ってる…とは、言えないよなぁ、今の関係って…。

「え、なになに、詳しく。」

完全に面白そうだと踏んだ先輩が隣に座ってきて、身を乗り出してくる。

「てかお前、彼女いたよな?去年。すんげー美人の…」

そう、この人には以前、光の写真を見せたことがあるのだ。まだ付き合っていた時に…。
だけど、一度見せただけだし、その写真は制服姿で今と雰囲気も少し違うからか、あれが花城光だったとは気づいていない様子だ。まあ、気づかれてたらとっくに噂になってるよな…。

「別れたの?」

面白がる口調と、親切そうに心配する調子の混じった声で先輩が聞いてくる。

「いや〜、まあ…少し前に」
「うわぁ〜、まじか。まあなかなか会えないしなー、よくある、よくある。」

気にすんなよ、と俺を慰めて、先輩はまた身を乗り出してきた。

「で、新しい子はどんな子?出会いは?」

完全に面白がってる。
けどこの人、高校のときからずっと同じ彼女と付き合ってて、夜遊びもしねーし、その点いい人なんだよな…。

「新しい子っていうか…その、元カノなんすけどね」
「え!復縁?」
「いや、まだ…。でももうすぐ誕生日なんで何か…と思って」
「へえ〜」

いいじゃん、と先輩は大きくうなずき、俺をからかうように小突いた。


***


「あ、もしもし…今忙しい?」

夜、少し緊張して光に電話をかける。なんだか付き合い始めたころのことを思い出す。光の気持ちが、いまいちつかめないことも。

「大丈夫だけど…何?」

少しそっけないような、だけど昔を思い出して懐かしくなる光の声が返ってくる。

「いや、あのさ、再来週の土曜日、予定空いてる?」
「再来週の土曜日…?」

少しいぶかしげな光の声。いいや、もう。意地張らずに言っちまえ、俺!

「光、誕生日だろ。…一緒に食事でも、どうかと思って」
「え……?」

しばらく沈黙が流れた。…何この間!?困ってる?引いてる?嫌がってる…!?

「…い、いい…けど…。」

かなり戸惑った声で、光がポツリと答えた。なんか、困らせた…!?けど、一応オッケーしてくれたってことだよな…。

「…そっか、じゃあ…、…ま、また連絡するわ」
「わかった…。」

じゃあ、と電話を切り、落ち着かなく触れた窓は冷たくて、少しずつ落ち着く心をなだめながら俺は真っ暗闇の窓の外を眺めた。

……付き合い始めっつーか…片思いのころを思い出すぜ…。



***



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