【なんでも】ダイエー選手を語るスレ…その198

587:花城光と付き合ってると思うと倉持を見るたびイライラするからもう見たくない
588:まだ付き合ってはないだろ、付き合ってたら部屋まで行く
590:花城光なんて死ぬほどモテるだろ。わざわざ倉持に行くか?せめて御幸だろ
591:倉持どこで花城光と出会ったんや
592:合コンやろ
593:そういうツテがあるんやろ、芸能界の
594:青道OBとしては他の卒業生がよくあの情報を漏らさないなぁと感心する
596:>594 なんのこと?
602:花城光は青道出身。で御幸一也の元カノ。
603:御幸なら俺の隣で寝てるよ
604:>602 これガチ?
605:>602 この話前もどっかのスレで見た気するわ。御幸のプロ入り前だったか
606:>605 ソースは?
607:これか https://...
608:超美人の彼女がいる、てやつか。花城光が青道出身てのが本当なら、超美人てのはそうそういないだろうから、花城光元カノ説あるな
609:本当だとしてなんで別れたん?
611:二人ともモテるだろうしなぁ。もっと遊びたくなったんじゃね


「何見てんの?」

今は電車移動中。隣に座る信二が不思議そうに尋ねてきた。

「いや、これ…」

俺がスマホを傾けて画面を見せると、少し読み進めた信二は苦笑を浮かべた。

「書き込んだやつ誰だろ」
「ね…」

あの二人は…高校では有名人だったから。犯人はまるでわからない。

「気まずいよな…本人たちからしたらさあ、別れた後にこんな…」
「あー…まあ…気づかないんじゃね?あの二人ネットとかあんま見なそうだし」
「そうかなー」

苦笑したまま首をかしげて、俺はスマホをポケットにしまった。


***


「東条くん金丸くん〜!こっちこっち〜!」

喫茶店の奥から鷹野が手を振っている。
今日は鷹野に誘われて、鷹野がバイトしている店に誘われた。なんでも客が来なくてワンオペなので都合がいいんだとか…。そう、花城を呼ぶのに。

「ここ!カウンター席座って!」
「あーうん…」
「おう…」
「メニュー見てて!今お水持ってくるね〜!」

騒がしくカウンター奥に引っ込む鷹野。信二を見ると、信二も苦笑を浮かべてこっちを見た。

「あいつあんなのでちゃんとバイトできてんのか…?」
「あはは。鷹野しっかりしてるから、大丈夫でしょ」

その時、カランカラン、とドアベルが鳴って、奥に引っ込んだ鷹野が走って戻ってきて、俺たちも店の入り口を振り返った。

「…お待たせ」

そうはにかんで、黒いワンピースにキャップを目深にかぶっている花城がサングラスを取った。相変わらず…息をのむほどキレイ。

「あっ光〜!お疲れ!座って座って!」

手招きする鷹野に従って、花城はこっちに歩いてきて、俺の隣に腰かけた。ふわりと甘い香りがして、胸がドキッと鳴る。

「メニュー決まった?」

鷹野が水とおしぼりを並べながら聞いてきて、俺と信二はうなずいた。

「あ、うん。俺アイスコーヒー。」
「俺も」
「じゃあ、私も」

「はーい、ちょっと待ってて!」

鷹野が奥に引っ込むと、店内は急に静まり返る。

「ふぅ…」

光が腕を伸ばして少しストレッチをし、小さく息を吐いた。

「あ…花城、今日仕事?」
「ううん、今日は休み。」
「あ、そうなんだ…」

そしてまた沈黙。あれ…俺、昔は花城とどんな会話してたっけ…???

「おまたせ〜!静かだな〜もう!」

鷹野が戻ってきてにぎやかになり、なぜだかほっとしてしまう。鷹野はアイスコーヒーを4つカウンターに並べて、自分も花城の隣に腰かけた。

「おい、サボっていいのかよ」
「いつもこんな感じだよ〜?店長にもお客さんいないときは好きにコーヒー飲んでていいって言われてるし〜」
「いいのかそんなんで…」
「あはは。いいバイト先見つけたなー鷹野」
「でしょ〜?あっ、テレビでも見る〜?」

鷹野は暢気にリモコンをとってカウンター横の小さなテレビの電源を付けた。

「マジで大丈夫かこの店…」
「まあまあ、信二」
「いつも毎週この時間にさ〜、野球のコーナーみたいなのやってるじゃん。たまに倉持先輩とか映るから私よく見てんだよね〜…あっそうだ倉持先輩といえば!!」

突然鷹野が花城を振り返り、その肩をつかんだ。

「あのニュースどゆことなん!?」
「あ〜…うん」

あのニュース…というのは、最近ネットで騒がれている、倉持先輩との熱愛報道だ。俺はさっき見たネットのまとめサイトの記事が頭をよぎったが、静かに口をつぐんだ。

「別に…たまにご飯誘ってくれるから、行ってるだけ…」
「え〜!!それってどうなの!?どう思ってるの!?御幸先輩とはどうなってるのぉ〜!!?」
「おい鷹野…そんな根掘り葉掘り…」
「気になるじゃん!!」
「ちょっと落ち着けよ」

信二にたしなめられて鷹野が口を尖らせたとき、テレビから流れる声が俺たちの注目を集めた。

「はい!それでは本日は〜…ダイエー同級生コンビ!御幸選手と倉持選手にお話を伺いたいと思いまーす!」

画面の中にはユニフォーム姿で気恥ずかしそうに並ぶ二人の姿。見慣れた、だけどやっぱり昔よりも精悍で、男らしくなった二人。それを見つめる花城の横顔を、俺はこっそりと盗み見た。

「では早速、お二人の最近うれしかったことはなんですか?ではまず倉持選手から!」
「あー俺は…そうッスね…、花城光さんの笑顔ッスかね〜…」

へらりと笑ってとんでもないことを口にした倉持先輩を見て、花城は顔を赤くして固まった。

「ひゃ〜!こんなこと言われちゃってるよ光ぃ!どーすんのぉ!?」
「うるさい…」
「あはは…」

花城の…照れた顔に胸が痛むのを、俺は気のせいだと思い込んだ。

「花城光さん…ですか!?」

ゴシップ記事が出たばかりだからだろう、まさか本人からぶちまけるとは思っていなかったであろうインタビュアーが、目を丸くしてぎこちなく聞き返した。

「まあ先週マスコミに撮られましたけど…」

ヒャハハ、と悪びれず笑って言う倉持先輩に、隣の御幸先輩でさえ驚いた様子で硬直している。

「この場をお借りして言うと、付き合ってるとかじゃありません。」
「えっ、あっ、そ、そうなんですか?ていうか、いいんですか?そんなにお話しいただいて…」
「はい、誤解されたままじゃあっちが困ると思うんで…ホントのこと言うと、仲いい後輩の一人ッス。まじで。」
「え!そうなんですか!?」
「はい。同じ高校で。まあ、でも、その…俺は付き合いたいっすけどね!ヒャハハ」
「…え!?あの、もう一度よろしいですか?」
「いやもうバリバリの片思いっす。普通に。先輩後輩のよしみで、たまに飯付き合ってもらってるだけっす!ごめん花城さん!いつもありがとう!アナタの笑顔が僕の癒しです!」

手を立ててカメラに向かっておどける倉持先輩にインタビュアーもスタッフも笑い出し、花城も…少し頬を緩めて倉持先輩を見つめていた。

「驚きのお話が聞けましたね〜。花城光さんこれを見てたら驚くんじゃないでしょうかね〜。ではお次は御幸選手、最近うれしかったこと!お願いします!」
「……。」

話の流れ的にかなりやりづらそうな苦笑を浮かべ、御幸先輩が前に出た。

「うれしかったこと…。…あ〜」

しばらく考えて、頭をかいて、やがて苦々しい笑顔のまま御幸先輩は顔を上げた。

「…なんも浮かばないっすね…」
「あら〜、そうなんですか?」

「御幸先輩凹んでない?なんかあったの?」
「…知らない」

何か知ってそうなすまし顔でそう答え、花城はアイスコーヒーにシロップとミルクを入れ、ストローでかき混ぜた。氷がカラカラと音を立て、黒く透き通ったコーヒーが茶色く濁るのを、花城は静かに見つめていた。

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