深夜になって雨足が弱まり、俺は帰ることにした。
本当は泊まりたいけど…我慢するのもきついし、自信ないし…。それに光に紳士的に振る舞いたかったから。

「服、今度会った時で大丈夫?」
「おう、悪いな、ありがとう」

俺のシャツを洗濯してくれるそうで、俺は借りたスウェットにジャケットを羽織って帰ることになった。今度また、会う口実もできたし…。

今度こそもうちょっと先まで…!?

「気をつけてね。」
「うん…じゃ、また。おやすみ」
「おやすみ」

バタン、と閉まるドア。なんかカップルみたい…。

浮かれる足取りでマンションを出て、大通りまで歩いてタクシーを拾った。
雨はすっかり小雨になり、傘もいらないほどだった。

あー…光とめちゃくちゃ…キスしてしまった…。
やべ、思い出すとまたムラムラする。
可愛かったなあ光、唇の感触も…身体もめちゃくちゃ華奢で、柔らかくて…。
キスして抱きしめ合うまでしか、できなかったけど…。

寮に帰ると深夜なだけあってあたりは静まり返っていた。御幸も流石に寝てるか…。

鉢合わせたらどうしようとか、正直勘繰って嫉妬されたらおもしれーとか…少しだけ思ってたけど。

ま、いいか。

それよりすげー…お預けくらって欲求不満。
さっさと部屋帰って発散して…寝よ。



***



「おっ、光ちゃん発見〜。いえーい」
「何?撮ってるの?」
「そうこれみんなを今ね、撮ってるの。光ちゃん今何してるの?」
「今?ヘアメイクさんに髪を巻いてもらってます。」
「はーいお仕度中でーす。いえーい」
「あはは。」

神田にカメラを向けられて無邪気に笑う光。
これはドラマの公式インスタの投稿で、不定期更新の主演神田によるオフショット映像。
よく光が映るから見てるんだけど…そう、よく光が映るんだよなあ…!神田ってやつ、光にばっか声かけてね?気があるんじゃねーだろーな…。

「光ちゃんハイ、恋はじダンス!」
「えっ?急に?」
「ハイ!ほら!」
「もお〜…」
「はい可愛い〜!ありがと〜う!」

べ、と小さく赤い舌を出して撮影者の神田を睨み、フッとはにかむ光にキュンとする。と、同時に…神田にイラつく。
絶対気ぃあんだろ!こんなの…。
動画についたコメントも…お似合いとか、恋人の距離感とか、付き合っててほしい…みたいなのばっかり。

でも…。

この前光はあんな…あんな顔で、俺を見つめて、何十分も…俺とずーっとキスしてた…。

あ〜やべえ、思い出しただけで俺の俺が…!!

次いつ会えるかな…。
俺はオフに入ったけど、光は最近ドラマで忙しそうだし…。

…期待が膨らんで落ち着かない。

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