「はい、これ…シャツ」
「あ…ありがとな」
念願の再会。やっぱり光のスケジュールが少しだけ空いて…2週間ぶりの食事。
光から紙袋を受け取って礼を言い、俺も借りていたスウェットを返した。
「撮影、順調?」
「うん。今年中には撮り終わる予定」
「そ…そか、じゃあ…そしたら、もうちょっとその…、会える?」
俺の絞り出した質問に、光は少しはにかんで頬を赤くした。
「…多分」
「多分ってなんだよ〜」
あぁ…楽しいけど…もどかしい!
この前あんなキスしたのに…まだ焦らされてる感じがする。
キスした次の日俺は、念の為…コンドームまで買いに行ったってのに。そんで今日もバッグに忍ばせてきてる俺…。
だっていつまたあーいう雰囲気になるかわかんないし…!
悶々としながらふと光を見ると、ほとんど食事が進んでないままどこかぼーっとしているように見えた。
「…大丈夫?」
「え?あ、うん。ごめん。ちょっと食欲なくて」
そう言ってほとんど手をつけていないサーモンのステーキの隣にフォースとナイフを置いてしまう光。
「え?体調悪いのか?」
「ううん。そういうのじゃないよ、大丈夫」
そう微笑む光に、俺はそれ以上何も言えなくて。
…だけどふと気づく。そういや光…随分痩せたような…。元々細かったけど、今は…儚くみえるほど…。
「そういやなんか…痩せた?」
「え?そうかな…」
そんなことないよ、と微笑む光の笑顔が、なんだか急に弱々しく見えて。
けど女の子の体型のことだし…モデルもやってるから体型管理とか色々あるんだろうし…あまり深く追求するのは気が引けた。
「…ま、無理すんなよ。」
「うん。」
***
いつも通り、光をマンションへ送る道。
…また雨降って来ねえかなあ…。
…なんで俺の邪な思いとは裏腹に、空気はからりと乾いたまま、あっけなく光のマンションに着いてしまった。
「じゃ…、」
「うん」
向かい合って、俺に頷いて微笑む光の手を取った。
華奢で柔らかい手を撫でて、ほんの少し…偶然だと言い訳できるくらいの弱い力で握る。
引き止めたい思いが伝わればいいって、心のどこかで思いながら。
「…何?」
はにかむ光を俺はにやけたツラでじっと見つめ返した。わかってるだろ、と言いたいのを堪えて。
「……。」
そして唇を結んで目を伏せる光。そう、やっぱわかってる。俺が離れがたくて…また部屋に行って…またキスをして…そんで、今日はその先まで行きたいってこと。
心が決まったように、光のキラキラした瞳が俺を見上げた。
「…離して。」
「っか〜、ダメか」
「ふふ…」
そして揶揄うような笑みで言われた言葉に、俺は大袈裟におどけて天を仰いだ。
「…わかった、今日は帰るよ」
「…うん」
しつこくして、嫌われたくない…。
光の気持ちが決まるまでは…いつまでも待とう。
光の手を名残惜しく離し、俺は手を振って踵を返した。光も手を振りかえし、笑顔でマンションに入っていく。
くそ〜、もどかしい…。
***
【純愛】花城光と倉持洋一のプラトニック愛、オタクを浄化する
001:某日花城光の自宅マンション前で手を握り合う2人がキャッチされた。倉持が花城の手を握り仲睦まじそうに談笑したあと、2人は手を振って別れそれぞれの自宅へ帰宅した。倉持の公開告白後もデートを重ねながらも、数ヶ月経つ今もプラトニック愛が続いているようだ。
002:倉持まだ家に入れてもらえないんか
005:何ヶ月もデートしてていまだに家まで送るだけって倉持偉いな
006:倉持紳士やん
007:花城光相手なら誰だってそーなる
009:10代20代そこそこの若者の恋愛をここまで追ってやるなよ
010:こりゃクリスマスにセックスやな
012:倉持がマンションから出てくるとこ撮られた日には間宮と御幸の脳が破壊されそう
015:花城光とセックスできるなら俺も何年でもプラトニック貫くわ
017:結構ガード固いんだな処女なのか?
018:とっくに御幸とやっとるやろ
019:それならさっさと次の男部屋に入れそうだけどな
023:経験の有無と貞操観念は関係ない
あ〜光に会いたい…会って抱きしめて、そんでまたあーいう濃厚なキスして…そんでその先も…
…ぶっちゃけ早くセックスしたい…!
いや…!光とちゃんと付き合いたいし、ちゃんと俺だけ見てほしいし、ちゃんと両思いになりたいけど!
あのキスは…性欲旺盛の童貞には毒すぎる…!
「…エッチは…ダメ…」
光の言葉を思い出してドクンと胸が跳ねる。
あれって…
セックスはダメだけど…
キスはいい…ってこと?
俺らってどーいう関係…!?
教えてくれ光〜…!!