「仕事の調子、どう?」
どこかぼーっとした様子の光に尋ねると、光はハッと俺を見上げて笑顔を作った。
「あ…、うん…」
「ドラマすげー人気だよな。CMも新しいの出てるだろ?光がテレビに出るたび、先輩たちが騒いでてよ〜」
「そうなんだ…」
そう呟いて俯き、影のかかる光の顔。なんか…元気がないように見えて、俺は様子を伺った。
「…なんかあった?」
そう尋ねられて俺を見上げた光の目は、どこか悲しげに見えた気がして…
「…ううん。」
すぐにそうやって、笑顔を浮かべたけど。
「ちょっと仕事が大変で…。あ、もちろん、楽しいけど。色々…事務所が厳しくて」
「そっか…まーそういうこともあるよな。無理しないでなんかあったら言えよ。」
「うん…」
「いや〜でもやっぱ、俺の思った通り、光は絶対スカウト受けるべきって思ってたんだよな〜。」
「……。」
静かに微笑み、光は視線を落とす。疲れてるのかな…今日もさっきまで撮影だったと言うし。
何か気を紛らわせる楽しい話題…
「そ…そういやもうすぐ…クリスマスだな!」
ドキドキしながら、今日ここにくるまで何度も頭の中で繰り返したセリフを放つ。
だけど予想よりもずっと、光の反応は薄かった。
「あー…そうだね、仕事だけど…」
「そ、そっか…忙しいんだな」
もはや光は大人気美人女優で引っ張りだこ…最近こうして会う約束をするときも、光の都合を合わせるのがなかなか難しくなってきたし。
だからこそ早く…関係をはっきりさせて、堂々と付き合いたい。部屋に泊まれる仲になれればもっと一緒にいられるし、そのうち俺が寮を出て、同棲なんてことも…。
「ねぇ、もし…」
「…えっ、あ、なに?」
考え込んでいる時に光が不意に口を開き、俺は我に返った。
「…ううん。なんでもない」
だけど光はそう言って微笑んで、ほとんど手をつけていない食事を見つめた。
***
昨日の夜もマンション前でお別れ。
疲れてるみたいだったし、俺はカッコつけて早く休めよなんて言って、光を見送った。
最近光、元気ねぇ気がするんだよな…。
仕事が忙しいってのはあるだろうけど…。
ピロン、とスマホが受信音を鳴らす。俺は飛び起きてスマホを手に取った。朝光にLINEを送っておいたのだ。きっとその返事が来たんだろうと思った。
「ごめん、しばらく忙しいから予定が空いたら連絡します」
…素っ気な!!
え…!?あんなキスしたのに…!?
あれって俺の夢だったのか…!?
…い、いや。光はLINEではこんな感じだよな。直接会えばもっと…。
あー…会いてえな…。
恋愛って難しい…。