「解〜〜放〜〜〜〜!!!!」

チャイムと同時に私は叫んだ。教室に笑い声が広がる。
今日は期末テスト最終日。勉強から解放され、部活も休みで、半日自由に遊べる。

「光〜!!カラオケ行こ!!」
「いいよ。」

振り向きざまに誘うと光はスクールバッグに筆記用具をしまいながら微笑んだ。

「いいなーカラオケ」

話を聞いていた東条くんが冗談っぽく笑う。

「東条くんも一緒に行くー?」
「え?」

軽い気持ちで誘ったのだが、東条くんは予想外に戸惑った様子で目を泳がせた。

「あ、忙しい?野球部だもんね」
「あ、いや、部活はオフだけど」
「ふーん?」
「いやー、でも、そうだな…」

東条くんは光を見て、私を見て、思いついたように言った。

「…信二も誘っていい?」

ああ、男子一人だと気まずかったのかな?

「金丸くん?もちろんいいよー」
「じゃ、聞いてくる…」
「東条ー行こうぜ」

東条くんが立ちあがろうとした時、ナイスタイミングで教室の入り口に現れる金丸くん。にわかに私たち3人の注目を浴びて、若干居心地悪そうに肩をすくめた。

「な、何?」
「あ…信二!鷹野たちと一緒にカラオケ行かない?」
「え?」

金丸くんは光をチラッと見て、わかりやすく顔を赤くした。

「お、俺も?」
「いいじゃーん一緒に行こうよ〜」

私がそう誘うと、金丸くんは少し安心したように眉を下げる。

「まーいいけど…」
「じゃ決定!行こ行こー」

4人で昇降口に向かう。廊下はテストを終えた開放感に包まれ浮き足立つ生徒たちで溢れかえっている。

「学校の近くのカラオケ屋?」
「駅前のとこ行こ!機種揃ってるし料理美味しいから!」
「鷹野詳しいなぁ…二人ともカラオケって何歌うの?」
「私はジュディマリとか〜」

側から見て盛り上がっていたのだろう、周りの注目を浴びていることを感じながら昇降口についた時、その視線の中に知った顔を見つけた。

「あ、お疲れ様です!」
「ッス…」

東条くんと金丸くんがいち早く挨拶をする。その相手、御幸先輩と倉持先輩は、おざなりな挨拶をしつつ光に視線を向けていた。…倉持先輩は、女子と連れ立っている二人の後輩を睨んでもいたが。

「おつかれさまでぇ〜す」
「おー。」

私もふざけて調子を合わせて挨拶すると、御幸先輩たちは少し呆れた笑みを返す。

「お前らどっか行くの?」

何気ない感じで聞いてきた御幸先輩に、東条くんたちは心なしかぎくりとする。

「あ…えっと」
「4人でカラオケ行くんですよ〜!」

口ごもる金丸くんに代わって答えると、御幸先輩と倉持先輩が固まった。
あ…、と顔を引き攣らせる金丸くんと東条くん。チラリと私を睨む光。え、私なんか悪いこと言った?

「テメェら女子とカラオケたあいいご身分だなぁおい…?」
「そ、そんなことは…」
「はっはっは、虐めてやるなよ」

倉持先輩に肩を固められて呻く東条くんが不憫で、私は悪気なく言った。

「先輩たちも一緒に行きますか?」

キョトン、と固まって私を一斉に見る御幸先輩と倉持先輩。

「え?いや…」
「おい御幸!」

苦笑を浮かべて一瞬断るかと思えた御幸先輩を、倉持先輩がとっさに捕まえて何やらこちらに背を向けてひそひそと相談しはじめた。

「何言ってんだよ……だろ!」
「いや俺は別に…」
「おい!はなし…さんと……チャンスだぞ!」

なんか漏れ聞こえる単語で何となく会話の想像はつくけど。

「もうちょい人数ほしいし先輩達が行かないなら速水先輩でも誘うー?」
「え?」

「!!!」

ダメ押しのつもりで私がわざとらしく言うと光はすぐに困った顔をしたけど、それよりも早くこっちを振り向いたのは御幸先輩だった。

「なんですかー?御幸先輩」
「……。」

しまった、というように御幸先輩の顔がだんだん恥ずかしそうに固まっていく。

「行く行く!なあ行くよな?御幸!」
「…わかったよ」

最後は倉持先輩の後押しで、御幸先輩は渋々といった様子で…だけどちらりと光を見つめて、うなずいた。

「別に無理に来なくていいんですけど」
「おい!もーちょっと優しくしろ」

そんな光に毒舌をくらって、御幸先輩は嬉しそうに絡んでいく。

「ホントお前が歌うとこ想像できねーんだけど。何歌うの?校歌とか?」
「御幸先輩はおよげたいやきくんとかですか?」
「どんなイメージなんだよ俺!」

「……。」
「……。」
「……。」

御幸先輩と光は思いのほか盛り上がりながら二人でさっさと行ってしまう。これは思ったよりもいい雰囲気かも…!
倉持先輩は、ちょっと恨めしそうに御幸先輩のほうを見てるけど。

前は速水先輩のアシストをしたから…お詫びのつもりで今日は御幸先輩に協力しよう。
まあ、私が楽しいだけなんだけどね。

「ほら行くよ!東条君金丸君!」
「う、うん!」
「お、おう」

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