「ありがとうございましたぁ!!」

空が焼ける頃、青道のグラウンドにはすっかり影が落ちていた。
薬師との練習試合の結果は敗け…いわれなくてもわかる。統率が取れていない。
自分がキャプテンになって秋大目前のこの大事な時期。今日この内容の試合をするなんて情けない。
しかも薬師を相手に…花城の目の前で。

俺はベンチのほうを見れなかった。
前に試合を見に来てくれた時も、稲実に負けて…いつもかっこ悪いとこばっか見せてるな…俺。

花城の前では、カッコつけていたいのに。


「花城さん!」

真田が俺の横を通り過ぎ、背後にかけていく。
それを止めることもできず、俺はこぶしを握ってただ地面を見つめた。



***


「あ…御幸先輩。これ、花城から」

更衣室で東条が近づいてきて、帽子を手渡された。ああ、と受け取った時の返事は我ながら気力がなく、東条は気を使ったように静かに離れていった。

花城がこの帽子をかぶってベンチに座っている光景は、正直少しの優越感を感じた。花城と特別な関係であると周りに思われることが、卑怯だけど嬉しかった。だからこそ情けない。こんな方法でしか、花城と関わりを持てないだなんて。
もっと堂々と…自信を持って、花城の隣にいたい。

だからこそ俺は…

「えっ、マジ!?薬師の真田が!?」

突然耳に飛び込んできた声。振り向くと、部員たちが噂をしているのが見えた。

「ああ、帰り際、花城さんにメアド聞いてた」
「はあ!?他校の分際で…!」
「花城さん教えちゃったの!?」
「花城さんと一緒にいた友達が教えてたぜ…」
「マジかよ!?」

鷹野のやつ…また面白がってんな…。

「俺前花城さんにメアド聞いた時、その友達に却下されたんだけど!?」
「はあ?なんだそれ…」
「釣り合ってないからダメだって…おかしいよな!?」
「いやすまん、それはなんか納得した」
「ああ!?なんでだよ!」

……。そんなパターンもあんのかあいつ。

「おい!青道のマドンナが薬師の馬の骨に取られちまっていいのか!?」
「いいわけねーよなぁ!?」
「結城先輩に頑張ってもらおう!」
「それもなんかなあ…」

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