「何だったんだよ?さっきのヤツらは」
従姉である光の高校の文化祭に興味本位で来てみたら、廊下で何か揉めてるわ、見つかるなり連行されるわでどっと疲れた。隣を歩く光は浴衣姿で、さっき見つけたときは少しひるんだ。なんでこんな人の集まる日に、こんな人目を惹くカッコなんか…。
「知らないよ。」
プンとむくれて光は言う。
「知らないってなんだよ…光の事で揉めてたじゃん」
「急に来たんだもん」
「ふーん」
誰がデートするとか、俺の光ちゃんだとか…大騒ぎしてたけど。
「光臣、一人で来たの?」
「なわけないだろ。光に連行されて友達とはぐれた」
「え!ごめん。」
「別にいいけど…」
あいつらも面白そうに騒動を野次馬してたし、今頃俺抜きで文化祭を楽しんでるに違いない。
「で…どうすんの?」
「何が?」
「クラスに戻るだろ?」
「今戻ったらまだいるかもしれないじゃん」
「…俺戻っていい?」
「え!ちょっと一緒に回ろうよ。」
無垢な顔で俺の腕に手を絡ませてくる光。薄い浴衣の布地越しに、肌の柔らかさを感じる。
「くっつくなよ。」
「なんでよ。」
相変わらず…ガードが緩すぎる。だからあんなに男たちが群がるんじゃないのか。
「…おじさんとおばさん、元気か?」
光の父親は、俺の父親の弟。光の両親は優しく愛情深い人たちで、俺にも優しい。…俺の両親とは大違いで。
「元気だよー。光臣また遊びにおいでよ。」
「やだよ。この歳で。」
「歳関係ある?いとこなのに」
「あるよ、お前の家ですることなんて何もないよ」
「冷たいなあ」
ほほを膨らませたかと思うと、ころころ笑う光。
この笑顔に何人の男が…。
そこまで考えて、俺は思考を振り払った。
***
「戻ってきたか光臣〜」
昼頃に友達グループと合流すると、面白がるような笑みで迎えられた。
「従姉は?」
「クラスに戻った」
「えー!一緒に来ればよかったのに」
「なんでだよ。嫌だ」
「仲良くないのかよ?」
「良くない。」
良さそうだったけど…、と友達が顔を見合わせ、俺は内心ため息をつく。
「にしても、さすが花城家一族。従姉もスゲェ美人だな」
「お前モテるのに全く彼女作らない理由わかったわ」
「身内にあんな美人がいたらな〜…」
「…はあ?気色悪いこと言うな」
友達は悪気のない顔でケラケラ笑う。
「じゃあ紹介してくれよ〜」
「絶対嫌だ。」