「ひっかり〜」

光を待たせていた体育館裏に戻ると、まだちょっと放心した様子でベンチに座ったまま、ちらりと私を力無く見上げてきた。やっぱ様子がおかしい。

「御幸先輩が謝ってたよお〜」

事情はわからないがとりあえず伝えると、光は一気に動揺をにじませた。

「え?謝る…って?」
「さあ?気にすんなって言っといてって言ってたけど…?」
「気に…すんなって?」
「御幸先輩になんか言われたの?」
「……。」

光は俯いて深刻な顔になった。
気になりすぎるけど…流石にあんまり根掘り葉掘り聞くのもなあ〜。

「光ぃ、大丈夫?」
「…うん…」
「あんまり大丈夫そうじゃない〜」
「……。」

ふざける私にも無反応…本当にどうしちゃったのー!?

「ねえ、何かあったの?大丈夫?」

私は光の隣に座り、腕に腕を絡ませた。
光はふっと目を伏せて思い詰めた顔で、ポツリとつぶやいた。

「…御幸先輩の好きな人…」
「あ…うん、なに?」

もしかして…好きな人が誰か聞いて…ショックを受けちゃった、とか…!?

「…私…って、言われた」

…え…

「えっ!?告られたの!!?」
「こ、声大きい…!」

真っ赤な顔の光に諌められ、私はごめんごめんと口に手を当てる。

「で…で、何て答えたの!?」
「……。」

あれ…なんでそんな悲しそうな顔。

「…無理…て言って」
「えっ?」
「逃げちゃった…」

そ…それは…

「それはやばいって!!」
「だって〜〜〜」
「何!?無理って!!」
「びっくりしたんだもん…!」

光はいっぱいいっぱいの顔で目を潤ませる。こんなに余裕のない光、見たことない。

「えっ…じゃあ…」
「なに…?」
「光も…御幸先輩のことが好き、ってこと?」
「……。」

光の顔がまたみるみるうちに真っ赤になった。

「やっぱそうなんじゃ〜〜〜ん!」
「ちょっ…だから声大きいって…」
「じゃ今すぐオッケーしに行こうよぉ!」
「無理無理無理!!」
「なんでぇ!?」
「とにかく無理!!」

光は私の腕にしがみつくようにして肩をすくめた。可愛すぎる。

「でも御幸先輩誤解してるよ〜?」
「いいよ!」
「なんでよ〜。さっき会ったらなんか落ち込んでたし…可哀想じゃん〜」
「え…落ち込んでた?」
「そりゃ好きな子に振られたと思ってるもん!落ち込むでしょ!」
「いや好きな子っていうか…」
「いやいやいや!好きって言われたんでしょ!?」
「あ…そっか…」

光、大丈夫かな〜…!?

「私が伝えてこようかあ?」
「やめて!!」
「じゃどうするのよ〜」
「このままでいい!」
「ええ〜!?」

私が大袈裟にのけぞると、光は腕を引っ張って引き戻した。

「絶対言わないでね!」
「わ、わかったよ〜…」

せっかく両思いなのに…
なんで〜!?

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