哲さんと花城が中庭で話してる。

…なんだ…上手くいってんじゃん…。

「ヒャハハハハ沢村〜〜元気かァ〜〜??オイ〜〜」
「うわっ!テンション高ッ!!」
「んなことねぇよいつも通りだろぉ〜??こっちこいよジュースでも奢ってやるからよォ〜〜」
「えっ!?何で!?気持ち悪っ!!」
「なんでだよ〜〜ヒャハハハ」
「怖い!!助けて春っち!!やっぱこの人昨日からヘン!!」

昨日鷹野に花城が倉持のことをカッコいいと言ってたことを聞いてからこの調子の倉持。クソウザかったけど…花城、哲さんとのことを隠すために、あえてどうでもいい倉持を隠れ蓑にしたとか?そうであってほしい。けど、そうだとしても調子に乗った倉持はウザい。

「倉持。」
「なんだよ御幸?」
「アレ見て、アレ。」

俺が窓の外を指さすと、倉持は沢村を離して窓際に寄り、中庭を覗き込んだ。

「…え!?」

そして哲さんと花城の姿を見つけ、窓にへばりついた。

「なんっ…え!?付き合ってんの!?」

前、花城は哲さんのことが好きだと話したからだろう、倉持は慌てだした。
倉持の様子を見て何事かと、沢村と小湊と降谷もやってくる。

「あっ…!結城先輩と…A組の花城さん…?」

小湊がつぶやき、沢村が目を丸くする。

「え!?元キャップと女神が付き合ってんの!?」
「……。」

バサバサバサッ!!と、紙が雪崩れ落ちる音が響いた。降谷が持っていたノートと教科書を落としたのだった。

「おいどうした!?まさかお前ショック受けてんのか!?」
「……。」
「ふ、降谷君大丈夫?」
「え…降谷お前、まさか花城のこと好きなの?」

降谷は黙り込んだままうつむき、見るからに落ち込みだした。

「マジかお前!!ドンマイだ!!元気出せ!!」
「うるさい…」

い、意外過ぎる。こいつもこっそり片思いとかするのか。しかし花城…やっぱモテるな。

「え、てかホントにもう付き合ってんのか!?」

倉持はそんなことよりも哲さんたちのことが気になるらしい。
「もう」?と首をかしげる1年3人を放って、倉持は俺に詰め寄った。

「いや、知らん」
「ハァ!?んだよ知ってること吐け!」
「だから知らねえって」

「何してるんだ?」

気が付けば、哲さんと花城が中庭からこっちの校舎に入ってきていて、俺たちは見つかっていた。一瞬で静まり返る廊下。花城と目が合ったが、気まずそうにそらされた。

「いや〜すいやせん邪魔しちゃって!!どーぞ俺たちのことは気になさらず!!」

何も聞けないでいる倉持を押しのけて、空気の読めない沢村が出しゃばった。

「うん…?あぁ…」
「……。」

…余計に聞けない空気になった。倉持も降谷も、この二人の関係がどうなっているのかはっきり知りたかっただろうに。…いや、俺もか…。

「じゃあ…失礼します」

そして花城は遠慮をしたように一歩下がり、哲さんに声をかけて立ち去ろうとする。

「あぁ、またな」

微笑む哲さんに会釈をして、花城は廊下を引き返し、階段を上がっていった。

「御幸、ケガの具合はどうだ?」
「あ…もう来週から復帰します」
「そうか、よかった。」

哲さんはいつも通りの微笑で頷いて、気遣うように俺を見た。

「じゃあ体育祭にも出るのか?」

体育祭。うちの学校では中間テスト明け…2週間後の来月に開催される。

「ええ、まあ。」
「そうか。無理はするなよ。…じゃあ」

哲さんは片手を挙げて踵を返した。お疲れ様です!と、元気のいい沢村の声が響いた。



***


「じゃあリレーのアンカーは倉持ね!」

ホームルームで体育祭の出場種目決めが進む。まずは体育祭の目玉、クラス対抗リレーのポジション決めだ。

「速水君も足速いよね?サッカー部!」
「あー、まぁ…どうかな」
「体力テストで倉持の次に早かったじゃん!」
「じゃトップバッターは速水君ね!」

リレーは足が速い人から順に埋まっていくから決まるのが早い。俺は怪我のこともあるし…適当に流せる種目にしてもらう。

「…じゃあリレーはこれで決まり!次は借り物競争!」

…これは見世物みたいな種目だからパス。

「ハーイ御幸クンがいいと思いまーす」
「…は?おい倉持!」

…なんて余裕をこいて空を眺めていたら、倉持が突然の裏切りをした。

「えーでも御幸君ケガは大丈夫?」
「コイツもう部活も復帰してるしヘーキヘーキ。借り物競争ならんな全力疾走することもねーし」
「おい…」
「むしろほかの種目より楽だろ!」

司会の学級委員たちが、確かに…、と説得され始めた。

「じゃあ御幸君、借り物競争でいい?」
「……。ハイ」

ほかの種目は…短距離走、障害物競走、二人三脚…。念のため綱引きと騎馬戦は免除してもらってるし…仕方ない。

「ありがとう!じゃひとりは御幸君で…、借り物競争出てくれる人、あと4人いないー?」
「お前出ろよ〜」
「私短距離走がいいなー」

面倒くさいことになった。でもまあ…適当にやればいいか。

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