「速水先輩とはどうなの?」
今日は休日。光と遊ぶ約束をして、今はカフェで一休みしている。淡いブルーのニットを着た光は肌の白さと頬の薔薇色が際立って、とんでもなく可愛い。
「どうって、まあ…」
「付き合うの?」
「…かも」
「えー!」
身を乗り出した私に、光はぴくりと肩をすくめた。
「御幸先輩はどーすんの!?」
「ちょっ…声大きいって…」
顔を赤くして慌てる光。こんなに可愛いのに…それに、絶対両想いなのに…ここで諦めるなんてもったいない。
「全然、私のことそういうふうに見てなさそうだし…」
「どこがあぁ!!?」
「…声大きいって」
「だって意味わかんないこと言うから!!」
「ええ?」
「私から見て、御幸先輩は絶対光のこと好きだね」
えぇ…と困ったように顔を歪め、赤くなる光。
「もったいないって!!だって光、何も行動してないじゃん!」
「……。」
「まあ光は可愛いから男の方から寄ってくるけどさあ〜…御幸先輩は不器用なんだよ!」
「うーん…」
「光が御幸先輩のこと好きってのがわかったら、絶対告ってくると思うけどな〜。」
「もういいって…」
「あっわかった!光から告白したら!?」
「え!?絶対無理!」
光は顔をブンブン横に振り、ティースプーンを握りしめた。
「そーだ!もうすぐバレンタインだし御幸先輩にチョコあげなよ!」
「えー…」
「速水先輩にあげちゃだめだからね!?もう付き合うことになっちゃうからそれは!」
「……。」
「あくまで義理ってことでいいからさあ、反応窺ってみたら?」
「…うーん」
あ…迷ってる。
「ね?ね!?」
「…考えとく」
赤い顔でポツリとつぶやいた光に、私は満面の笑みで答えた。
***
そしてバレンタイン当日。
「光〜おっはよー!」
朝練を終えて教室に飛び込み、光に駆け寄る。
光はいつもとちょっと違って…髪を細いリボンのついたゴムで一つに縛っていて、すっごく可愛い。
「気合い入ってんじゃ〜ん!持ってきたんでしょ?」
「ちょっと、声大きい…」
顔を赤くして背中を丸める光。
後ろの席の東条君がちょっとソワソワしてこっちを気にしたけど、気を遣ったのか気づかないふりをするように後ろの席の男子と話し始めた。
今日はバレンタインだから、男子もみんなソワソワしている。
「いつ渡しに行く?途中までついてったげようか?」
「いやまだ…渡すかわかんない」
「え!?ダメダメ!せっかくのチャンスなんだから!昼休みにする?放課後は部活行っちゃうだろうし…」
「うう〜…」
「速水先輩に見つかるとまずいから私が呼び出すよ!ね!?」
そこでチャイムが鳴って、最後にもう一度光に念押しし、私は自分の席についた。
すれ違っちゃった光と御幸先輩のため…今日は私が頑張らなきゃ!