「オイいつから付き合ってたんだよ!」
「全部吐くまで今日は寝かさねーぞ!!」
「勘弁しろって…」

寮に戻ってきてからもずっと皆に捕まってもみくちゃにされながら詰問されている御幸先輩を横目に、俺は食器を下げる。食堂を出ると信二が後を追ってきて、その気遣うような目に、俺はかろうじて笑みを返した。

「東条…大丈夫か?」

人気がなくなったのを見計らってそう尋ねる信二から、俺は目頭が熱くなるのを感じて顔を背けた。

「いや別に、全然平気だよ」

腰に手を当て、こっそりと鼻を啜る。だけどこの静かな夜には、その微かな音でさえはっきりと聞こえてしまった。

「…知ってたのか?」
「え?いやいや、初耳に決まってるだろー」
「…俺は花城さんもどうかと思うぜ、東条の気持ち知ってて、チョコ渡したりなんかして…」
「いやいや!あれは友チョコだってはっきり言われたし」
「だとしても…」

別にあれで、俺も期待してたわけじゃない。あのチョコが俺宛じゃないことなんて、最初からわかっていたし。

「信二。それは関係ないよ…俺、あの二人が意識しあってること、なんとなくだけど気づいてたし」
「……。」
「どっちみち、俺は脈なしだったしさ!」

俺は目に力を入れて信二に笑顔を見せ、喉の奥が震えるのを感じてまた前を向き、塩辛さを飲み込んだ。



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