「えー!レイナ彼氏と別れたの?」
「そ。」
2年生になり、派手な女子グループと同じクラスになった私と光は、なんとなくそのグループの子たちとよく喋るようになっていた。というより…美人で目立つ光に、彼女たちが寄ってきた感じだ。
「彼氏大学生だっけ?」
「そー」
「なんで別れたの?」
「アレが下手くそだったから!」
きゃはは、と笑い声が上がって、私と光だけが苦笑いで目を見合わせた。
「下手くそってどんなだったん?」
「マジ早漏。マジ秒。」
「えー!きっつ!」
「しかもポークビッツ!」
「きゃはは!それは逆に見てみたいわ!」
「……。」
「……。」
ちらり、とまた光と目を見合わせる。心が通じ合ってる気がする。この子達…ちょっと合わないんだよなぁ…。
「光ちゃんも彼氏いるんでしょー?」
「3年の御幸先輩だよね?」
「えっ?あ、うん。」
困った顔で閉口していた光は、突然自分に話が振られたことに驚いて慌てて笑顔を作った。
「イケメンだよね〜!いいな〜!」
「もうエッチしたの?」
「えっ」
唐突の質問に、光は固まって顔を赤くする。
「ちょっとエリナ〜!光ちゃんはピュアなんだから!」
「アハハごめん〜!」
「えーでも付き合ってどんくらい?」
「え…、と…い、一か月…?」
「一か月か〜。じゃそろそろじゃない?もうキスくらいはしてんでしょ?」
「え、あ、あはは…」
「え〜!?キスもまだ!?」
「顔真っ赤!可愛い〜!」
光が顔を真っ赤にして困り果てるのをからかう彼女たち。もー、我慢ならない。
「ちょっとー!もうやめなって!人ぞれぞれペースってもんがあるんだからさ」
というか、彼女たちが派手なだけだ。光はいたって健全で、御幸先輩に大切にされてるだけだ。
「まあそうだけど〜」
「御幸先輩は絶対我慢してるって!あんまじらすと可哀そうだよ〜?」
「はいはいも〜この話おわり!」
光をかばうように両手を広げて皆の前に立ち、私は話を中断させた。
***
「レイナたちの話、気にしなくていいんだからね?」
放課後、光とマックに寄って、私はそう言った。
「え?」
「今日の話!」
「ああ…うん。」
えへへ、と恥ずかしそうに笑って、光はジュースを飲む。
「てか、本当にキスもしてないの?」
「……。」
そして私が身を乗り出して気になっていたことを聞くと、光は目を細めて私をにらんだ。
「何?」
「いや意外だな〜って!御幸先輩モテるから、もっと手ぇ早いと思ってた!」
「……。」
光はストローを噛んでますます私をにらむ。可愛い。
「いつもデートでどんなことしてるの?」
「えぇ?うーん…適当にぶらぶらしたり」
「老夫婦か!」
「いいじゃん別に。」
「今度の日曜も会うんでしょ?どこ行くの?」
「うん…?その辺の公園とか」
「…小学生か!!」
「いいじゃん別に。」
光はポテトを食べ始める。こんなに食べても全然太らないし肌も荒れないの、羨ましい。
「ちょっとは光のほうから仕掛けてみてもいいんじゃないの〜?」
「仕掛けるって?」
「家に呼ぶとか。」
「家…?な、なんで?」
「そりゃ密室よ!あんなことやそんなこと…」
「や、やめてよ。」
ポテトをつまむスピードが速まった。動揺してる。
「御幸先輩喜ぶと思うけどな〜。」
「何言ってんの。」