振り回して惑わして

アナタという人はまったく。
私をどれだけ惑わすのでしょうか。





「ねぇ、柳生君。教えてもらえた?」
「また貴女ですか」


最近、私の周りをうろちょろするこの人。
なんでも仁王君のデータを集めてるらしい。
同じクラスだからといって、なんでも私に聞いてくるのは少し苛立ちも感じてしまう。


「だから、何故私に聞くんです?柳君辺りに聞けば解決しませんか?」
「あたし、柳君とは喋ったことないんだよ。だから柳生君に聞いてるの」
「じゃあ本人に聞いてください」
「その本人よりも詳しそうじゃん、柳生君」
「仁王君のことは仁王君が一番知ってますよ」
「その仁王は教えてくんないって」


だから何故仁王君のことを私に聞くんでしょうか。
人の気も知らないで……。

読んでた本を閉じて、改めて向き直る。
瞬間、視線が合った。
貴女の純粋な瞳が、自分を射抜くようで。
少したじろいでしまう。そんな自分にも少し嫌気がさしてしまう。

何故、仁王君のことを知りたいか……私が知ってしまったら後悔しそうで。


「……何故、仁王君を調べてるんですか」


後悔しそうなのに、好奇心には勝てない。


「……ただのきっかけ」
「仁王君とのですか」


自分の放った言葉が、ぎゅっと心臓を締め付けた。

こんなのは私らしくないですね。


「……違うよ」
「では、誰と」
「もう、わかんない?」
「なに……を」


上目遣いで私を見やる貴女。
その頬は赤らんでいて、まるで熟れた果実のようで。


「だって共通の話題、探してたとこなんだもん」
「……それで仁王君を?」
「まずはソレをきっかけにしたかったの」
「浅はかですね」
「むぅ!失礼なっ!だって柳生君のことストレートに聞けるほどあたし肉食じゃないもん」


いやいや、十分ですよ。

さっきまでの痛いくらいの心臓は、心地いいリズムで鳴り始めてる。


「十分、肉食だと思いますけどね?」
「お淑やかに攻略しようと思ってたのに」
「貴女にはソレは無理でしょう」


アナタに振り回されるのも悪くはない。
惑わすのは、私だけにしといて下さいね。
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