誕生日




放課後、私はあかりと帰っていた
そしてあるマンションに

「カエデ?」

あかりはニッコリと笑い扉をあけた
ワンルームの家で靴もあまりない

「ひとり暮らしなんだね」

茅野「まあね」

私が扉をしめると
ドンっ あかりは私の顔のすぐ横に手をおいた

「壁ドン?」

ふざけようとしてるのかとそう聞き返すように言ったが
茅野カエデの顔じゃなかった

茅野「私のこと皆に話すつもり?」

「話すわけない
私はずっと唯一の友だちだと思ってたんだけどな
私のこと忘れてるし違うみたいね」

このままあがるのもなと思い
私は背を向け帰ろうとした

茅野「ごめん…でも、思い出した」

「あかり…どうして偽名を使っているわけ」

茅野「沙織にはちゃんと話すよ
ただ、必ず黙っていてほしい」

「わかった」

あかりのお姉さん、あぐりさんのことを聞いた
そしてあかりが何をしようとしているのかも

「あかり、私は一切邪魔をしないと約束する」

茅野「ありがとう」

「私達甘党だもんね、前みたいに甘いもの巡りしたい」

茅野「もちろんだよ」

あかりは天才子役として活躍していた
そして、私も一度ドラマに出たことがある

そのとき共演して以来仲が良かった
けど、中学にあがったとき疎遠になってしまった

あのあと、楽しくお喋りをして私は帰り道を歩いた

磯貝「沙織」

「悠馬くん?」

前から悠馬くんが走ってきた

磯貝「公園で話さないか?」

「わかっ…あ、いや無理」

一気に私の顔は真っ赤になった

磯貝「いいから」

無理やり腕を引っ張られ
公園のベンチに座った

悠馬くんがドリンクを買ってる間に逃げようかな…

と考えてるあいだに、戻ってきてしまった

磯貝「沙織…俺、好きだよ」

「へ?…え、あ……」

いつもより真剣な顔なのに
少し頬が赤くて

磯貝「付き合ってほしい」

ドキッとした
私は静かに頷いた


初恋が実った。