誕生日




磯貝悠馬side

沙織はずっと辛い思いをしてきた。
両親のこと、姉妹のことは再会した日に教えてくれたけど
小学生時代、前の学校でのことは聞いていなかった

あいつはどれだけ傷つけられてきたんだ

俺はまもりたい

小さい頃の初恋がまた心をはずませる。

E組のみんなに沙織が過去のことを話した日
2人で帰路を歩いていた。
沙織を家まで送り、帰ろうとしたとき

突然、肩を叩かれ
どうしたのかと聞いたとき
ネクタイを引っ張られバランスを崩した
スローになったように、ゆっくりと

鍛えられた体幹で倒れないようにと思っていたら
頬に温かい感触があった。

「色々ありがとう。
私、ゆうまくんが好きだよ」

え?そんな素振り沙織から感じてなかった
俺のこと好き?恋愛としての意味だよな
頬だけどキスだって

考えをやめ周りをみると沙織はいなかった。

ってか言い逃げってなんだよ
そもそも先に言わないでくれ

俺だって…俺は沙織のことが好きだ

その日、帰ってから電話をするも出なくて
おそらく恥ずかしさで参っているのだろう
何回かけても出ないだろうから
やめて。
俺はE組のみんなに電話した

月曜日は沙織の誕生日だから。
最高の日にしたいんだと。

あいつ、誕生日にいい思い出がないから

そして、月曜日
やはり沙織は誕生日は嫌いだといった
最後には沙織はたくさん笑っていた

そのまま俺は公園で沙織と話すことにし
ドキドキしながらも告白をした

小さくではあったけど頷いてくれて俺らは付き合うことになった。


初恋は実った。