お好み焼き屋

笠松主将が抜けたことにより、テツくん、火神、黄瀬、緑間、私のメンバーという席が出来上がる。

「「((あの席パネェ!!!))」」

誰もがそう思った。

「ちょっとちょっと〜超ワクワクするわね!」

テンションが上がるリコ先輩に一睨み

「オマエ、これ狙ってたろ…」

「えー?まっさか〜。」

語尾にハートを飛ばす高尾和成に一睨み


一方、こちらの席では沈黙が続く。

「とりあえず…なにか頼みませんか?」

テツくんの一言で全員が口を開き出す。

「オレもう結構腹いっぱいだから、今食べてるもんじゃ焼きだけでいいっスわ。」

「よくそんなゲ〇のようなものが食えるのだよ。」

「なんでそーゆーこと言うっスか!?!?」

隣通しで喧嘩する2人の前では…

「イカ玉豚玉ミックス玉タコ玉豚キムチ玉…」

「なんの呪文スか!?」

「頼みすぎなのだよ!!」

「はぁ、全部1人で食べるだろうから」

「ほ、ホントに人間っスか!?」

「胃にブラックホールでもあるのだよ。」

火神の食欲に呆れる緑間と黄瀬。その言葉を最後にまた訪れる沈黙。

店にはお好み焼きの香りが充満する。

「…緑間っちコゲるっスよ?」

「食べるような気分なはずないだろ。」

「負けて悔しいのはわかるっスけど…ホラ!昨日の敵はなんとやらっス!」

「黄瀬、昨日の敵は今日の友」

「負かされたのはついさっきなのだよ!

むしろ、オマエがヘラヘラ同席している方が理解に苦しむのだよ。1度負けた相手だろう?」

黄瀬に対して尋ねる緑間

「…そりゃあ、当然リベンジするっスよインターハイの舞台でね。次は負けねぇっスよ。」

「ハッ、望むところだ黄瀬。」

それまで口に頬張っていた物を一気に飲み込み答える火神。

「…黄瀬、以前と少し変わったな。目が…変なのだよ。」

緑間の言葉を理解できてない黄瀬。しかし思い当たる節はあるようだった。

「まぁ、黒子っちたちとやってから前より練習するようになったっスかね。あと最近思うのが…
海常のみんなとバスケするのがちょっと楽しいっス。」

私はその言葉に瞬きをして微笑む
その様子を笠松主将に見られてると知らず

「どうも勘違いだったようだ、やはりかわってなどいない。戻っただけだろ3連覇する少し前にな。」

「…けどあの頃はまだみんなそうだったじゃないですか。」

「オマエらがどう変わろうと勝手だ。だがオレは楽しい楽しくないでバスケはしていない。」

テツくんの一言に緑間の表情に怒りが見える。
今度は私はため息をはく

「…オマエらゴチャゴチャ考えすぎなんじゃねーの?楽しいからやってるに決まってんだろ?」

「火神、そういう簡単なことではない」

「へいへい」

「みづきっち…何でそんな男らしい口調になったんすかーー」

何故か急に話題をかえるが、私は無視する

「テツくん、それもう食べないならもらっていい?」

「もちろんです。」

テツくんは私が食べやすいように切ってくれて取皿にのせてくれた
こういう紳士なところにさっちゃんは惚れたんだろうな

「みづきは楽しい楽しくないでバスケをするのに賛成なのか?」

緑間は少し弱々しく聞いてきた

「楽しくなければ自ら練習しないでしょーが。
あんたは誰よりも努力をしていたよね?
それは、シュートが決まるのが嬉しかったからじゃないの」

「人事を尽くしてるだけなのだよ」

「何故バスケなわけ?」

「それは…」

するとベシャと嫌な音が
あっ…緑間の頭に熱々のお好み焼きが
後ろを振り向くと、真っ青な顔になってる高尾和成
彼がやったのだろう。

無言で席を立つ緑間

「とりあえずその話は後だ。」

高尾和成の頭を掴み、店の外へ引きずり出す。

「わりーわりーって…ちょっとスイマ…
…だぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

高尾和成の叫び声が外で響き渡る。
そんな中、テツくんが火神に言う。

「みづきさんと火神君の言う通りです。今日試合して思い出しました。
つまらなかったらあんなに上手くなりません。」

再び戸が開き、入ってきたのは緑間とボコボコになった高尾和成
その後、刻々と時は流れ…雨も上がる。
各メンバーが帰りの準備をする中、緑間1人席を立つ。

「火神、1つ忠告してやるのだよ。東京にいる“キセキの世代”は2人。
オレともう1人は“青峰大輝”という男だ、そして奴はオマエと同種の選手だ。」

「よくわかんねーけど…とりあえずそいつも相当強いんだろ?」

「強いです」

即答するテツくん
その言葉に興奮しだす火神

「フン…まぁせいぜい頑張るのだよ。」

そう言い、お金と私から借りた傘を置いてその場を去る。

「…緑間君、またやりましょう!」

テツくんの言葉に、振り向き

「当たり前だ」

と答える
店を出れば、自転車にリヤカーをくっつけた通称チャリアカーに跨る高尾和成
率先と彼が漕ぐらしい

当たり前だと即答した彼ならば少し救いがある。
彼もきっと黄瀬のように戻り強くなる