「バイパス完了。パーマネントクリップ」
無機質な音が響くオペ室
この時間こそが医者の醍醐味だ
「面白い」
「難しいほど面白いか。お前らしいね」
オペ中、難しければ難しいほど楽しくなる
それに、難しいオペが出来たときの達成感が好きだ
「ディセクター」
「今日は朝から飛んでるみたいだな。救命、ここんとこ人が足りてないんだって?」
「みたいですね」
「今さら興味ないか」
別に興味がない訳じゃない
とくに、今日からあいつが働く場所だ
気になけるに決まってる
人手が足りてないのも知ってるが、コンセルだけで充分だろう
「洗浄して閉頭します。生食」
「これが終わったらちょっと話があるんだ、いいか?」
「分かりました」
オペ中も西条先生と喋る
はたから見ればそれで大丈夫なのかと思われるだろうが
助手に西条先生…もしくは新海がいれば余裕である
そして、オペが終了した
無事難しいオペを終わらせた俺は上機嫌だ
「藍沢お前、脳外に来て何年になる」
「7年目です」
ロッカールームで着替えていると、西条先生に聞かれた
「実はな、トロント大から話が来てるんだ。是非うちから1人、レジデントを受け入れたいって」
「いい話ですね」
「お、興味ありそうだね」
「トロント大の症例数の多さと医療水準の高さは世界屈指です。脳外の医者やってて、興味のない人間なんていませんよ」
「だよな。うちとしてもね、出来るヤツを送りたいんだ。そうなると*お前か、あいつかって事になる。いい話には競争がつきものだ」
「そうですね」
いい話しだが、美帆…そして子どもたちのことを考えると悩んでしまう
美帆は何て言うだろう…。
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