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「…さくら……馬鹿息子の疎かな思考で…」

もう二度と開かぬ瞳。血に濡れた顔をそっと撫でる。

「あぁ…憐れな小鳥…せめてこれでも弔えてやろう。安心しろ、戒めにあやつにも持たせよう。可愛い我が娘よ。」
「……何を持っているのだ?」
「これか…これは死んだ者とを繋ぐという欠片が埋められた物だ。」
「成程な…さて、今後はどうする。」
「そうだな…行くなら殺生丸が去った後にお行き。わらわの事は気にするな。」
「……そうか、ならばそうしよう。跡は任せたぞ。」
「あぁ…」

全て変わってしまったのだな。
闘牙、お前は人間に取り次ぎ、あの一族の血はさくらが死んだことで完全に滅びた。
殺生丸もまた闘牙の息子として、この世に名を知ら占めるのであろう。

私は一人、ここで静観するのみ。
面白くない世になったものだ。

「……どうした?さくらはお前に会いたくないのではないか?」
「…………」
「そう沈むな。これをやろう。」
「……これは…」
「さくらにも持たせたまま弔う。それは死した物と繋ぐ欠片じゃ。大事に扱え。」
「…ありがとうございます……母上……」
「……全く…つまらぬ顔になってしまって……無知とは愚かであり、また必然的である。気に病むな。」
「……………すまぬ……さくら……」

殺生丸も少しは懲りたようじゃが、これは少し傷が大きいのではないか。
これでは折角養えた慈悲の心も共に無くしてしまうではないか…