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かごめが井戸に吸い込まれて数日。
帰ってくるのは意外にも早かった。
だけどその数日間は、落ち着いて授業を受けれたものじゃない。
帰ってきたかごめは、怪我していて、井戸の向こうは戦国時代の世界だったとか
犬夜叉、っていう半妖?っていう人がいたり
妖怪に襲われたのだの、何だか信じ難い話だが、現に怪我もしてるし本当なんだろうと思う。

「でも、何であの時、かごめだけが狙われたんだろう?」
「あー多分、四魂の玉を持っていたからよ。あ、四魂の玉っていうのは願いを叶えてくれる玉らしくて…」
「あーもう、かごめ!それ以上は話さんくともよい!こうしてはおられん!」

爺ちゃんは外へ飛び出していった。
戻ってきて何をしてたの?と聞くと封印をしたらしい。
本当に封印出来てるのだろうか…

今日の晩御飯はおでん!
爺ちゃんが封印について何か言っていたが全て無視。

「いっただきまーす!」

スパンッッッ!

「誰が帰っていいって言った!」
「犬夜叉……」

彼が…犬夜叉…………
あれ………何だか見覚えがある…よう…な……

「犬夜叉、その髪…!」
「あ?髪?」
「ほら!……!動いてる!」
「どうしたんじゃその血!」
「ほら!髪の毛が!」
「見えんぞ?」
「えっ…?私も黒くて長い髪の毛が見えるよ…?」
「んっ?おめーも見えるのか?お前も霊力があんのか?」

かごめが焦ったように走り出した。

「おい、お前も来い!」
「えっ?!ちょ、ちょっと待って?!」

腕を引かれ無理矢理連れていかれる。
着いた場所は井戸、その中から無数の髪の毛の束が蠢いていた。
すると髪の毛が生きているかの様に襲いかかってきた。
訳もわからずかごめの言われる通りに扉を抑える。
犬夜叉がかごめの手によって見えた髪を切ると消え去った。

「犬夜叉、戻るわよ!」
「ん?やけに物分りが良くなったじゃねぇか。」
「ほんとは嫌なんだけどね。」
「これ、被ってろ。火鼠の衣だ。下手な鎧より頑丈だからな。」

皮肉る犬夜叉だが一応かごめには優しくしているらしい。

「じゃあ行くぜ。おい、そこのお前もだ。」
「えっ??!!!わ、私も??!!!」
「どうして?関係ない筈よ。」
「おめーだけじゃ不安だからな!んで?お前、名前は?」
「…さくら…だけど…」
「よし、さくら、お前も戦国へ行くぞ!」