13

「さて……ふ、これを持っているという事はやはりさくらなのだな。」
「それは…母さんに貰ったお守りだけど…」
「少し眠っていろ、なに、直ぐに終わる。」

目の上に手をかざされるとだんだん眠くなり、腕に抱かれたまま意識が朦朧とする。
その後の記憶は全くない。


「起きろ、さくら。」
「────………」

次に目覚めると空を飛んでいた。

「………って、えぇぇぇ??!!!!!!!!」

思わず抱きついてしまった。

「不用意に抱きつくな、鎧が刺さる。お前は人間として生まれたのだ、用心しろ…」
「え……あ、はい……」

怒られてしまった。
だけど犬夜叉に対する態度と全く違う。
私はこの人の事は何にも知らないけど、少なくともこの人は私の事を知っているみたい。

「見よ…父上の墓だ。お前が死んだ後、父上も死なれてしまった。だが、共にここに来れた事、嬉しく思うぞ。」
「…………」
「どうすれば、お前は思い出すのだろうな。魂でも呼びだすか?」

何だか怖いこと言ってる。
その間にどうやら目的地に着いたらしく下ろされた。

「ついに辿り着いたぞ…父上の体内に隠されし宝刀…一振りで百匹の妖怪を薙ぎ倒すという…その名も鉄砕牙…」

これが最強と呼ばれていた犬夜叉のお父さんの持っていた刀…?
でもめちゃくちゃボロボロだし、本当に宝刀…なのかな?
でもこの人が欲しがる位なんだし…そうなんだろうけど…

抜き取ろうとした手は眩い光と共に弾かれていた。

「父上も用心深いことよな、結界を張るとは…」

追いついた犬夜叉が背後から襲いかかってきたが、私を抱え直し、軽々と交わした…
けど、ちょっと速すぎじゃない??!!!

「柱の後ろに隠れていろ…」
「う、うん……」

よく分かんないけど、多分戦いには巻き込まれないんだろうな。
私が隠れると再びぶつかり合いが始まった。