20

朝目覚めるとまだ夜明け前だった。
昨日のままの体制で、殺生丸も寝ているのか目を閉じていた。

(また来ちゃったけど…このまますぐに帰るって言うのもな……)

それにこの人には色々聞きたいことがある。
それだけは気が済むまでしないと帰ってもまた気になるだけだ。

「……私に…聞きたいことでもあるのだろう。」
「え…っ…あ、それはー…もちろん、たくさん。」

寝ていると思ってたのに…
まぁ本人もこう言うし?全部聞いてみようかな。

「まず…何で私の名前を呼んだの?」
「…偶然か、または必然的だったのか…私には知りえぬ。だが、私の知っている名前がさくらだっただけだ。」
「それじゃあ…たまたま殺生丸の知ってる人の名前と、私の名前が一緒だったってこと…?」
「そういうことになる。だがさくらは死んだ、どれ程経ったかはもう忘れたが…」
「それだと、かごめみたいに私もその人の生まれ変わりだって言うの?」
「……………」

え、何でそこで黙っちゃうの?
そしたら…その前世の私はどんな人だったんだろう。

「その…前の私ってどんな人だったの?」
「…………まだお前に語るには不十分だ…」
「そ……そっか………」

まだ不十分って事は…まだあんまり私の事を信じてくれてないってこと…かな?

「…お前の着物は見慣れぬな、何処かの国の物か。」
「え…えーと…そのー……未来から来たって言ったら信じる?」
「……未来…?」
「そう、未来…500年くらい先から。」
「…もしその話が真実ならば、お前はどうやってここに来た?」
「えっと…まだここに来たのは2回目だけど、1回目は骨喰いの井戸を通ってきたよ。で、2回目はこれを握ってたらこっちに来れちゃったって感じ。」
「これが…?………何か考えたりはしたか。」
「えっえっとそれは〜……」

まさか殺生丸の事を考えてました!なんて…言えないよ〜〜!!!!!

「それは秘密だけど、でも来た時はかごめの前だったよ。きっと双子の片割れとして合わせたんだと思う。」
「………何故私も持っているというのに、私の元に来なかった?」
「それは分かんないよ…このペンダントに聞いてみてよ。」

私だってこのペンダントを握りしめただけで、こっちに来られるだなんて思ってもみなかったんだから!