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とても昔の事だからか、目を閉じ、奥深くにある記憶を思い出しているようだ。
「お前の前世の名もさくらだった、妖怪であったがな。」
今はもう滅びた金霊鳥族と呼ばれた、真に美しい白銀の羽を持った妖怪一族がいた。
その一族の王女がお前だった。
「王女……?ってことは…王様の娘だったの?!」
「…お前の父は良き王だったらしい。が、ならず者が現れ、そやつが滅ぼしたと聞く。」
その国が滅ぶ寸前…最期の闘いの前に、お前の父が我ら犬一族に託した。
そしてさくらは私の許嫁であり、妹分として私の隣にいた。
「……だから、殺兄って…」
「当初は煩わしかったがな。」
「煩わしいって……」
「その後は…私と共に旅をしていた…今のようにな。」
私はただ父上を超えるために力をつけていた。さくらはそれについていくだけだ。
そんな私の元に父上の宿敵、竜骨精が阻んできたのだ。
その時の私は到底適う相手でなかった筈だったのだ。だが、戦いに挑んだ。
敗北しそうな所をさくらは己が持っていた刀をそやつ目がけ投げた。
それが戦いに加勢したと見なされ、容赦なくあやつは……
「………」
「…あやつは……お前を…貫き刺した。」
「…っ!」
「その後の事はよく覚えておらぬ。息のないさくらを抱え屋敷に戻った。意識を失ったが、目覚めた時にはもう死んでいたのだ。」
「……そっか……それで…私を見つけた時……」
「私とお前が持っているこれは、死者の魂とを繋ぐ物だ、と渡された物だ。そしてさくらは去る前、こうも言った。」
私がさくらの事を思い続けている限り、再び会える…と。