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「じゃあお母様、お父様、行ってきますね。」
「うぅ…本当にわらわ達の傍からいなくなってしまうのか…?」
「グッ…これも我が子の成長の為…!」
「はぁ…良い遊び相手がいなくなってしまうのか…寂しくなったらいつでもお帰り。」
「殺生丸、さくら、達者でな。また時が来た時は会おう。」
「ふん…早く行くぞ。」
「別れの抱擁を…!」

お母様とお父様の温かみをしっかり刻み込み、殺兄との二人旅が始まった。

「外の世界は初めてか。」
「うん、殺兄は?」
「そうだな、見える範囲までも出た事がない。進むのは東か?北か?南か?」
「うーん……北にしましょ?風が追い風になるよ。」
「!まさか、ずっと空を飛ぶつもりではないだろうな?」
「え、違うの?」

というより歩く所ってあるの?

「まずは地上に降りることからだ。」

ふっと浮き上がり真っ直ぐに雲へと飛び込む。
勇気を持って、後を追う。

思えばこうして空を飛ぶのは初めてだ。

雲の中を通り抜け、目を開くとそこには一面、緑が広がっていた。

「これが大地だ。私達はこの大地を旅する、良いな?」
「………うん…!殺兄と一緒だから大丈夫!」

「大地」は広いけれど、殺兄がいれば何も怖くはない。