現代においでませ(3)

寒いけれど、もこもこのおかげで気持ちよく寝ていたのに、寒くなってきた。
変だなと思いながら起きると、みんな阿吽の前にいた。

「起きたか、行くぞ……乗れ。」
「え、あ?どこに?」
「あのね!殺生丸様が1日だけだぞって。だから、早く遊びに行こ!」
「………え??!!!現代に??!!!ちょちょ、ちょっと待って??!!!今、何時??!!!」

腕時計を見ると針は7時過ぎ。
日もあまり昇っていない。
眠たい頭のまま阿吽に乗せられ、りんと殺生丸の間に挟まれた。
殺生丸が手綱を持つと阿吽は空へと飛ぶ。

「どうして急に?」
「………いや…」
「…………」

自分でもよく分からない、様な感じだったので、それ以上は聞かずにもう一度寝た。


次に目が覚めた時には井戸が見えるところまで来ていた。
日もさっきより高い。

「ねぇ…自分で言ってあれだけど…通れるのかな?」
「…知らん。」
「通れるよ!絶対!」
「ううーん………」

不安に思いながらも、一人先に入り、井戸から見上げる。
手を伸ばすと水面から手を出したように風を感じる。
少し待つとりんが邪見を抱えたまま手を握った。
軽く引っ張ってあげるとぶくぶくと音を鳴らしながら隣に並ぶ。
もう片方の手を伸ばすと冷たくて大きな手がしっかりと掴まる。
握り返して、ぐっと引っ張ると大きな泡を作りながら隣に並んだ。

「凄いね〜!井戸の中、とってもふしぎ!」
「そうね…じゃあ行こう。」


現代につき、りんと邪見、殺生丸、私の順で外に出る。
祠の扉を開くと、りんと邪見は大いにはしゃいだ。
すぐ隣にある家に一旦案内する。

「母さん!父さんの服か何か残ってたら探してほしいな。」
「あら、さくら。今日はどうしたの?」
「あのね、いつもあっちでお世話になってる皆を連れてきたの。」
「お…お邪魔します……」
「あらまぁ…この人達が…いつもさくらがお世話になってます。」
「ううん!こっちこそ。いつもさくら姉ちゃんはあたしのお話を聞いてくれてるの。」
「も、もう……あのね、昨日相談したでしょ?二人に合う服がないかなって。」
「そういうことね、じゃあ探しましょ。全部置いてるのよ!」

3人には私の部屋で待ってもらうことにして、倉庫に行って探す。
本当に私の服、全部置いてる……

「あ…これが良いかも…」
「これ、あの人の若い頃の服、帽子もあるわ。これ、良いんじゃないかしら。」
「ありがとう!持っていく!」

これで皆と一緒に歩けるんだね!